2011 Fiscal Year Annual Research Report
寛永通寳の生産と流通 東アジア銭貨の共時性を視座に
Project/Area Number |
20330073
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Research Institution | Shimonoseki City University |
Principal Investigator |
櫻木 晋一 下関市立大学, 経済学部, 教授 (00259681)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大内 俊二 下関市立大学, 経済学部, 教授 (00213629)
藤田 晴啓 東洋大学, 国際地域学部, 教授 (40366513)
加藤 慶一郎 流通科学大学, 商学部, 教授 (60267862)
島田 竜登 西南学院大学, 経済学部, 准教授 (80435106)
西本 右子 神奈川大学, 理学部, 教授 (70241114)
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Keywords | 寛永通寳 / 貨幣考古学 / 海域アジア / 金属組成 / データベース / 復元実験 |
Research Abstract |
考古資料の調査として、福岡市埋蔵文化財センター収蔵博多遺跡群出土銭貨の実見と、個別出土銭のデータベース化作業を継続して行い、収蔵品の実見調査はほぼ完了した。宮崎県総合博物館が所蔵している五ヶ瀬町坂本城出土一括銭の分類・整理作業も継続して行い、金属の組成分析を残して調査は完了した。また、九州国立博物館に収蔵されている福岡県久原出土一括銭の調査も行った。これらは個別出土銭と一括出土銭の実見調査と出土銭貨データベースの整備という観点から重要である。 エストニアのタリン大学で開催されたEAJS(European Association for Japanese Studies)で、8月28日に櫻木、加藤、勝亦がパネル「The Shortage of Coinsin Early-Modern and Modern Japan:Toward an Explanation for the Structural Contradictions」を組み、報告を行った。帰路、パリ国立図書館所蔵日本貨幣の全点調査を行い、現地でできる作業は完了し、国内で報告書作成作業に入った。 1月22日、福岡市埋蔵文化財センターで、昨年度製作した復元寛永通寳の枝銭を分離し、解体作業を経験するとともに、蛍光X線による再度の金属組成分析を行った。結果、復元実験では炉の温度か高すぎ、金属が気化して当初配合した比率になっていないことが判明し、これは新たな知見である。 2月4日(土)・5日(日)、慶應義塾大学三田キャンパスで本科研の総括的な最終報告会を実施した。参加メンバー全員が報告を行い、とりわけ文献班のチーフである安国良一氏から総括コメントがあった。3月16日、これまで実現できなかったドイツのイエナ大学に赴き、所蔵日本貨幣の実見調査を実施した。黒崎鋳銭場で鋳造されていたと記録に見える「元通国吉」銘の銭貨を実見した。韓国の昌原では、日本の寛永通寳と並行期に流通していた常平通寳の鋳造遺跡が調査され、鋳造関連遺物や遺構の出土から、今後鋳造技術などの日韓比較が可能な状態になりつつあることを確認した。
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