2010 Fiscal Year Annual Research Report
日本帝国崩壊後の人口移動と社会統合に関する国際社会学的研究
Project/Area Number |
20330103
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
蘭 信三 上智大学, 外国語学部, 教授 (30159503)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野入 直美 琉球大学, 法文学部, 准教授 (90264465)
大久保 明男 首都大学東京, 教養課程, 准教授 (10341942)
松浦 雄介 熊本大学, 文学部, 准教授 (10363516)
高畑 幸 広島国際学院大学, 現代社会学部, 准教授 (50382007)
上田 貴子 近畿大学, 学芸学部, 准教授 (00411653)
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Keywords | 人口移動 / 社会統合 / 日本帝国の崩壊 / 引揚げ / 国境線の変更 / 送還 / 密航 / 戦後東アジア地域の再編 |
Research Abstract |
本年は、サハリンの海外調査を行い、また昨年までの研究成果にもとづくシンポジウムを主催し、かつ国内外でのシンポジウムに招へいされ報告するなど、確実に成果を上げた。まず、(1)9月18日に九州大学「2010年、いま戦後引揚げを問う-帝国崩壊と戦後東アジア社会」を開催し、本研究班のメンバーに加えて引揚体験者も登壇してもらい、引揚港博多という地の利も得て、盛会であった。このシンポジウムは地元の市民団体との共催で行い、広く公開したために一般市民が多数参加した。このことは本研究班と地域の市民団体との学術的な交流も促進し、広く社会への貢献を果たすことができた。 ついで、(2)9月25日の韓国満洲学会、東北大学GCOEシンポジウム、ソウル大学日本学研究所シンポジウムに蘭や外村が招待されて本研究班での研究成果を報告し反響を呼んだ。とりわけ、韓国では満洲研究が始まり、日本帝国の植民地支配との関係で捉えがちであった植民地期を日本帝国のプレゼンスとのかかわりでアジアを見ていくという視点へと転じており興味深かった。その意味で、蘭や外村や田中の研究が注目されており、本研究班の仕事がアジアでの研究状況にもインパクトを与えていることが確認された。 また、夏には、中山、田村らがサハリン調査を行い、サハリンにおけるロシアの文献資料やロシア人研究者との交流から、樺太研究を複眼的に見る視点を獲得しつつある。 最後に、本年度は最終年度ではなかったが、これまでの3年間の研究成果を中間報告書という形で刊行した。それは321頁にわたる大部なもので4部構成から成り、1部はそれぞれの研究報告が10本、第2部は昨年度東アジア社会学者会議の報告、第3部は昨年の札幌シンポジウム、第4部は今年度の九州大学でのシンポジウムをまとめたものである。 このように、本研究班は、日本帝国崩壊後の東アジアにおける人口移動の実態と地域再編、そして社会統合に関する知見を確実に積み上げ、アジアの学会においても、地域社会においても貢献し、本年度の交付申請書に示した研究目標は遂げることが出来た。
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Research Products
(5 results)