2011 Fiscal Year Annual Research Report
日本帝国崩壊後の人口移動と社会統合に関する国際社会学的研究
Project/Area Number |
20330103
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
蘭 信三 上智大学, 外国語学部, 教授 (30159503)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野人 直美 琉球大学, 法文学部, 准教授 (90264465)
外村 大 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (40277801)
松浦 雄介 熊本大学, 文学部, 准教授 (10363516)
高畑 幸 静岡県立大学, 国際関係学部, 准教授 (50382007)
上田 貴子 近畿大学, 文芸学部, 准教授 (00411653)
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Keywords | 人口移動 / 社会統合 / 日本帝国の崩壊 / 引揚げ / 国境線の変更 / 送還 / 密航 / 戦後東アジアの再編 |
Research Abstract |
本年度は(1)日本帝国期の植民地及び満洲における人口移動と社会統合に関するメカニズムについて報告、執筆すること。(2)日本帝国崩壊後の植民地及び満洲における交錯する人口移動とそれに伴う社会統合のメカニズムについて報告、執筆すること、(3)終戦直後の人口移動だけでなく、グローバル化が進行する現代までをも射程に入れてグローバル化期の人口移動と社会統合についてポストコロニアリズムの視点から報告、執筆すること、(4)帝国崩壊後の人口移動と社会統合に関して日本を中心としながらも、仏・独・蘭における状況を比較考察することで、帝国崩壊後の人口移動とそれに伴う社会統合メカニズムの個別性と普遍性を明らかにすることを目指した。 上記目的を実行するために、蘭編著『帝国崩壊とひとの再移動-引揚げ、送還そして残留』(アジア遊学145号、2011年)にという特集を本研究班で担当し、25本の論考を掲載した。とりわけ、満洲における朝鮮族が公民として包摂されていく状況、朝鮮から日本人が引揚げる際の韓国社会の対応、ソ連軍占領後の樺太における日ソ朝の「共生」とそこからの引揚げ、沖縄をめぐる台湾、南洋、満洲からの引揚げと戦後の状況に関する状況が詳細に明らかにされた。 本書刊行後は、研究班のほぼ全員が研究報告を行いそれぞれの目的を追求した。とりわけ、このコロニアルな状況が90年代のグローバル化とどのように関連しているかを共通課題として追求していった。なかでも、フィリピンにおける旧日系人と新日系人の関わりが日本語教育をめぐる交錯を生み出しているプロセスが明らかにされた。 さらには、最後に仏、独、蘭という西欧帝国の崩壊とその後にひとの移動に関する国際比較シンポジウムを開催したが、そこでは、帝国崩壊後の引揚げ(追放)という普遍的なひとの移動が生じた一方で、蘭印における日蘭の結婚・混血児の存在が必ずしも分断だけでなく、時空を超えた関係性を生み出すことを確認した。このことで、本研究班が追求してきた現象が普遍的に存在することが確認された。
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Research Products
(6 results)