2011 Fiscal Year Annual Research Report
「世代間の育児支援」からみた祖父母とその子世代の関係構築に関する実証的研究
Project/Area Number |
20330107
|
Research Institution | Nayoro City University |
Principal Investigator |
小野寺 理佳 名寄市立大学, 保健福祉学部, 教授 (80185660)
|
Keywords | 祖父母 / 育児支援 / 世代間関係 / 移民の保育 / 地域社会 |
Research Abstract |
本研究の目的は、現代社会における祖父母世代とその子世代(孫の親)即ち成人期の親子関係を、「世代間の育児支援」を軸として明らかにすることである。平成23年度は、研究計画に基づいて取りまとめの年と位置付け、これまでの調査において得られたデータを整理・分析する作業を進めた。 <国内調査の取りまとめ>平成20年度~22年度に実施した国内での保育所・小学校調査のデータの分析作業を進めた。育児支援をめぐる祖父母と成人子と孫の思いのずれに着目して分析をおこなった結果、(1)祖父母からの育児支援は精神的な支援を中心におこなわれており、祖父母自身も身近な育児経験者として子世代を精神的に支えることを責務と考えていること、(2)子世代は育児支援の現状に満足し、今後の支援継続を期待する一方で、祖父母の負担感を十分に理解しているとはいえないこと、(3)育児支援は、子世代においては「孫可愛さ」ゆえにおこなわれていると認識されているが、祖父母においては母親の就労維持・促進が重視され、公的育児支援の空白を埋める社会的貢献としての自覚にも支えられていること等が明らかとなった。<海外調査の取りまとめ>平成22年度スウェーデンでの「移民の保育」に関する調査と「住民活動」に関する調査の結果を分析した。「移民の保育」調査は都市部の多民族社会としての特徴を捉えようとするものであり、「住民活動」調査は、過疎化が進行する地域社会における人々の結び付きのありようを明らかにしようとするものである。いずれもこのたびの調査地についての社会的特徴をとらえようとするものであり、これを踏まえて、平成21~22年度に実施した保育所調査のデータの分析を進めている。
|