2009 Fiscal Year Annual Research Report
ナラティヴアプローチによる治療的意味生成過程に関する研究
Project/Area Number |
20330143
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
森岡 正芳 Kobe University, 人間発達環境学研究科, 教授 (60166387)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野村 直樹 名古屋市立大学, 人文社会系研究科, 教授 (80264745)
佐藤 達哉 立命館大学, 文学部, 教授 (90215806)
岸本 寛史 京都大学, 医学系研究科, 准教授 (90397167)
廣瀬 幸市 愛知教育大学, 教育学研究科, 准教授 (10351256)
山口 智子 日本福祉大学, 社会福祉学部, 准教授 (00335019)
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Keywords | ナラティヴ / 心理療法 / 質的研究 / 意味生成 |
Research Abstract |
本研究は治療的会話としてのナラティヴアプローチの特徴を、セラピーに固有の関係性の質という観点から明確にし、臨床的適用の可能性を探ることが目的である。ナラティヴが新しい意味を生み、自己の再構成へとつながるはたらきをとらえるにあたって、会話の担い手たちの関係性および時間要因、そして社会文化的文脈の要因が重要であると考えられる。平成21年度の本研究は、時間要因を中心に分析を行った。研究グループは合同研究会(6月、9月、11月)を行い、日本質的心理学会第6回大会(北海学園大学)にて、シンポジウム「時間とプロセスをとらえる質的研究」を企画し、成果の一部を発表した(2009年9月13日)。時間要因については、自己を対話関係としてとらえるハーマンスの対話的自己理論にもとづき、治療的会話における過去の自己と現在の自己の対話関係の分析を行った。日本心理学会第73回大会招待講演にてハーマンス来日の折、ワークショップを企画し、以上の分析について直接示唆を受けた(2009年8月27-29日立命館大学および京都大学)。さらに研究代表者は内的発話の対話性と時間特性について、バフチンとヴィゴツキー及びユングの心理学理論に依拠し、検討を行った。結果の一部は第2回国際バフチン会議(2009年6月ストックホルム大学)及び第2回国際ユング会議(2009年7月カーディフ大学)にて発表を行った。以上の研究によって、ナラティヴの視点が出来事をつなぐ独自の時間構造を持つことが明らかになった。これまでの研究の成果は、HP「ナラティヴ心理学ネットワーク」を2010年度早々に立ち上げ、公開する予定である。
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Research Products
(4 results)