2011 Fiscal Year Annual Research Report
ナラティヴアプローチによる治療的意味生成過程に関する研究
Project/Area Number |
20330143
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
森岡 正芳 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (60166387)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野村 直樹 名古屋市立大学, 人文社会系研究科, 教授 (80264745)
佐藤 達哉 立命館大学, 文学部, 教授 (90215806)
岸本 寛史 京都大学, 医学系研究科, 准教授 (90397167)
廣瀬 幸市 愛知教育大学, 教育学研究科, 教授 (10351256)
山口 智子 日本福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (00335019)
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Keywords | ナラティヴ / 心理療法 / 意味生成 / 質的研究 |
Research Abstract |
本研究は治療的会話としてのナラティヴアプローチの特徴を、セラピーに固有の関係性の質という観点から明確にし、臨床的適用の可能性を探ることが目的である。ナラティヴが新しい意味を生み、自己の再構成へとつながるはたらきをとらえるにあたって、会話の担い手たちの関係性および時間要因、そして社会文化的文脈の要因が重要であると考えられる。本研究の最終年度にあたる平成23年度、研究グループは臨床現場において、収集された会話資料をもとに、関係レベルのメッセージを詳細にとらえ、内容レベルでのメッセージとの照合を行った。以上を通じて、ナラティヴにおける素材(対話におけるテーマ)とナラティヴの行為との間に生じる差異に着目し、語り手(クライエント)が自己を再構成する契機をとらえることを試みた。日本心理臨床学会第30回大会(福岡国際会議場2011年9月3日)および日本心理学会第75回大会(日本大学2011年9月15日)にて、研究グループ全員が集まり、ナラティヴ視点にもとづくリサーチ及び心理療法に関わるワークショップ及びシンポジウムを企画した。この2つの企画にて、治療的会話に生じる新しい意味生成が、自己の再構成をうながし、ライフストーリーの再編へとつながる過程について成果を発表し、多くの研究者と討論を行った。物語の物語性に立脚したナラティヴアプローチの意味を再認識することが、今後の課題となった。臨床場面では、生活史聴取に立ち返り、そこから個人の内的テーマを明確にしていく道筋を描くことを方法として洗練させていくことが課題である。以上について、「リメンバリング-喪失と回復の物語」精神療法38-1,2012『質的心理学ハンドブック』第4章(新曜社2012年9月刊行予定)などで成果を公表したo
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Research Products
(4 results)