2008 Fiscal Year Annual Research Report
乳幼児における共感性・道徳性の発達:縦断的研究と神経倫理学的研究
Project/Area Number |
20330150
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
板倉 昭二 Kyoto University, 文学研究科, 准教授 (50211735)
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Keywords | 縦断研究 / 社会的認知 / 選好注視法 / 顔選好 / 社会的因果性 / バイオロジカルモーション |
Research Abstract |
今年度は、これまでの社会的認知における縦断研究の分析を主におこなった。この縦断研究は、選好注視法により、社会的刺激に対する乳児の反応を、5ヶ月齢から2ヶ月ごとに調査したものである。より基礎的な社会的認知能力を測定するため、モニターを用いた選好注視実験を行った。ここでは、顔刺激への選好(ノーマル顔-モザイク顔)、笑顔への選好(笑顔-ノーマル顔)、正視顔への選好(正視顔-逸視顔)、生物らしい動きへの選好(バイオロジカルモーション-ランダムモーション)、社会的因果性を示す動きへの選好(追跡-ランダム)の5つの社会的認知能力を測定した。これらの刺激は、いずれも乳児期の初期に発現することが先行研究によって明らかにされているが、その発達的軌跡についてはいまだ解明されていない部分が多かった。また、これらの課題は、従来は馴化・脱馴化法で行われるものも含まれており、観察パッケージの作成という観点から、より短い時間で実施可能な選好注視法での可能性も検討された。 ラボの縦断研究では、顔刺激への選好は生後7ヶ月で顕著に現れ、その後18ヶ月までにゆるやかに消失することが示唆された。意図的な動き刺激では、生後7ヶ月以降で一貫して、社会的な因果性を示す動きへの強い選好が見られた。一方、笑顔刺激と正視顔刺激、生物らしい動き刺激については本調査では明確な選好が見いだせなかった。これらの結果については様々な理由が推測できるが、従来の馴化・脱馴化法を実施されたものを選好注視法で行ったことなどが関係しているかもしれない。
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Research Products
(5 results)