2011 Fiscal Year Annual Research Report
πK原子の寿命測定によるQCD検証‐発展DIRAC実験‐
Project/Area Number |
20340059
|
Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
岡田 憲志 京都産業大学, コンピュータ理工学部, 教授 (90093385)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹内 富士雄 京都産業大学, 名誉教授 (40121537)
千葉 雅美 首都大学東京, 理工学研究科, 助教 (60128577)
岩下 芳久 京都大学, 化学研究所, 准教授 (00144387)
青垣 総一郎 京都産業大学, コンピュータ理工学部, 講師 (00582363)
|
Keywords | ππ原子 / Kπ原子 / Kπ原子寿命 / Kπ散乱長 / DIRAC実験 / QCD / カイラル摂動計算 / SciFiホドスコープ |
Research Abstract |
ππ散乱の散乱長a_0とa_2を分離して求めるために、π+π-原子のS状態の寿命から|a_0-a_2|を、ππ原子のラムシフト測定から2a_0+a_2を得ることができる.ラムシフト測定は2段階に分けて行う.第一段階:ππ原子の準安定P状態の生成と生成数の測定を行う.そのために生成用Beと検出用Ptの2重標的の製作・設置と前方電離検出器ホドスコープの強化整備を行う. 第二段階:2標的間に強磁場永久磁石を設置しP状態にあるππ原子をS状態に遷移させ第二標的で残留P状態ππ原子数を測定する.P状態生成数と残留数の差/比から2ao+a2に比例する遷移確率を求める. この科研費研究で2011年度前半までにππ散乱の散乱長|a_0-a_2|を4%の精度で求めることができ、同時にKπ原子の存在と寿命の下限値を0.8fsと求めることができた。2011年度後半では、ππ原子の準安定2P状態の検出とLamb shiftの測定のための準備実験を行った。まず、P状態原子の生成数を測定するために、S状態原子から解離した荷電π粒子対を排除する弱磁場の永久磁石を第一標的上に設置した。第一標的中でS状態からの励起で作られた準安定長寿命のP状態原子は荷電中性のまま磁場中を直進して第二標的中でクーロン相互作用で解離し、荷電π+π-対になる。このペアーを寿命測定をしているDIRACスペクトロメータで検出しP状態の存在と生成数を測定しラムシフト測定が可能である事を示した。 この準備測定で明らかになった点は、永久磁石の磁場の強さが中性子または陽子ビームのハロー照射により減磁してゆく現象が観測されたことである。現在、放射線耐性の大きなサマリウム・コバルトをふくむ磁石サンプルの照射実験を行っている。
|