2011 Fiscal Year Annual Research Report
精密解析による多重ボソン生成を伴うヒッグス物理の研究
Project/Area Number |
20340063
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
栗原 良将 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 研究機関講師 (50195559)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤本 順平 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 研究機関講師 (90202291)
金子 敏明 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 共通基盤研究施設, 教授 (40177522)
加藤 潔 工学院大学, 工学部, 教授 (50152707)
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Keywords | 素粒子実験 / 素粒子理論 / 加速器 / シミュレーション |
Research Abstract |
平成23年度は、非摂動効果による硬光子の発生のプログラム開発を行った。従来の方法では、この効果は光子破砕関数を用いて実験データをもとに計算されていた。そのために、重要な力学変数(光子の放出角等)は積分されてしまい、データ解析に必要な一部の情報は失われてしまっていた。我々は、この光子発生を、改善されたパートン・シャワー法を用いることで計算し、従来の方法では失われていた硬光子とハドロン・シャワーを、完全な力学変数の情報を保ったままで計算することに成功した。この方法はイベント発生の効率が良く、測定器シミュレーションプログラムに直接接続することができるので、理論による計算に基づいてより精密に予言できるようになった。 また、超対称性模型について研究を行った。LHC実験により発見が期待される超対称粒子に関して、その崩壊幅と分岐比の高次補正を系統的に計算した。超対称性粒子は、その実験的信号に明確な特徴があるため、もし存在するならばLHC実験んにおいて比較的容易に発見されるものと期待されている。しかし、その信号の詳細は、超対称性粒子粒子の質量・崩壊幅等に強く依存する。そこで、LHC実験における超対称性粒子の信号に対する高次補正の効果を確認するために、超対称性粒子の多段崩壊における崩壊幅の高次補正の精密な計算を行った。これにより、一部のパラメータ領域においては大きな補正が存在することが判明した。将来、超対称性粒子が発見された場合、その実験による測定値から超対称性模型のパラメータを決定するうえで、今回の高次補正の計算は重要な役割を果たすものと期待される。
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