2009 Fiscal Year Annual Research Report
熱進化する微惑星の衝突破壊と小惑星・氷衛星の多様性の起源
Project/Area Number |
20340118
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
荒川 政彦 Nagoya University, 大学院・環境学研究科, 准教授 (10222738)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
香内 晃 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (60161866)
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Keywords | 小惑星 / 衝突破壊 / 氷微惑星 / 焼結 / 層構造 / 熱進化 / 多様性 / 圧密 |
Research Abstract |
本年度は,氷微惑星の衝突破壊に対する空隙率の影響と岩石層構造天体にできる衝突クレーターに関する実験を行った.氷微惑星の衝突実験においては,50%を超える高い空隙率を実現するために数十μmの氷微粒子を用いて試料を作成した.その結果,空隙率40~70%の広い範囲で雪試料を準備することができた.この雪試料を1時間から1ヶ月間-15℃で焼結させることにより,衝突破壊強度の焼結度と空隙率の依存性を調べた.実験では,どの空隙率でも焼結時間の違いによる引っ張り強度や音速の違いは見られなかった.衝突破壊強度に関しても焼結時間の違いは観察できなかった.一方,空隙率が違うと引っ張り強度は1桁以上変化し,また音速も空隙率が30%から60%に減少すると半分ほどに減少した.衝突破壊強度に関しては,引っ張り破壊強度ほどの大きな変化はなく,空隙率の増加とともに微減した程度であった.しかしながら,衝突のモードは空隙率により大きく変化した.空隙率60%以上では,弾丸の潜り込みが激しくなるので,それによって,低速度衝突では弾丸の付着が起こり,中速度では弾丸の突き抜けのような減少が現れた.一方,クレーター形成実験においては,まず,層構造を持たない玄武岩及びモルタルブロックに実験を行った.その結果、クレーター直径はエネルギーの0.36乗、深さはエネルギーの0.35乗(モルタルは0.28乗)に比例することが分かった.玄武岩をモルタル層で覆った層構造試料に対して充分に大きな衝突エネルギーを与えるとこの構造を反映した同心円型クレーターが形成することが分かった.その深さは、モルタル層庫(T)と玄武岩に形成されるピットの深さ(d_b)の和で表される.d_bはTが厚いほど浅くなり、その変化は弾丸が試料に衝突する際の運動モデルを仮定することによりd_b/d_<b0>=(1-T/d_m)^<1.62>となることが分かった(d_<b0>=層構造のない玄武岩上に形成されるクレーター深さ,d_m=層構造のないモルタル上に形成されるクレーター深さ).
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