2008 Fiscal Year Annual Research Report
太陽紫外線とオゾン変化の力学的上下結合と気候変動に果たす役割の解明
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20340131
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Research Institution | Japan, Meteorological Research Institute |
Principal Investigator |
黒田 友二 Japan, Meteorological Research Institute, 気候研究部, 主任研究官 (80343888)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小寺 邦彦 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 客員教授 (70343887)
柴田 清孝 気象庁気象研究所, 環境・応用気象研究部, 室長 (50354494)
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Keywords | 太陽活動 / 紫外線変化 / オゾン / 対流圏成層圏結合 / 環状モード / 極夜ジェット振動 / 波平均流相互作用 / 子午面循環 |
Research Abstract |
南半球晩冬期の活動期における環状モード(SAM)の熱帯準二年振動(QBO)と太陽活動による変調効果をERA40のデータ解析から調べた。SAMは太陽活動によって強く影響を受け、高太陽活動期(HS)には信号が上部成層圏へと延びるとともに引き続く夏季とも大きな相関を持つが、低太陽活動期(LS)は伸びは小さく持続性も殆どない。QBOのSAMへの影響については、西風フェーズには上部成層圏へと延びる時期が早まる代わりに夏季との相関は殆どない。しかし東風フェーズでは上部成層圏へと延びる時期が遅くなりかつ夏季と大きな相関を持つことが分かった。また、QBOと太陽活動のSAMへの相乗効果を調べたところ、太陽活動の影響の方がQBOの影響より大きく、QBO位相に関わらずHSに上部成層圏への伸びが大きく、LSでは小さかった。但し、持続性に対してはQBO東風フェーズの場合にのみ高い持続性が見られ、QBOと太陽活動のSAMへの効果は、北半球北大西洋振動(NAO)の場合とは異なり、比較的線形的であることが分かった。また、太陽活動が熱帯の積雲対流活動に与える影響過程を理解するために、類似の成層圏の対流圏への影響過程である成層圏突然昇温時の熱帯の場の変化を調べた。また近年熱帯域のENSOに伴う成層圏循環場の変動パターンが変化していることが明らかとなった。また、過去再現実験における化学-気候モデルのランの解析を行い北半球環状モード(NAM)の下方伝搬特性や持続時間を調べ、正と負の極端なNAMが下部成層圏で約50-60日の統計的有意性をもつ持続時間があり、観測結果を良く再現していることがわかった。さらに、このとき低緯度の対流圏界面付近の上昇流と下降流にも有意な影響を与えており、その振る舞いは高緯度とかなり異なっていることがわかった。
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