2008 Fiscal Year Annual Research Report
赤外振動スペクトルと量子化学計算による核酸塩基高次構造の決定
Project/Area Number |
20350012
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
三枝 洋之 Yokohama City University, 国際総合科学研究科, 教授 (90162180)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立川 仁典 横浜市立大学, 国際総合科学研究科, 教授 (00267410)
大場 正志 横浜薬科大学, 薬学部, 教授 (60115219)
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Keywords | 核酸塩基 / 赤外振動スペクトル / レーザー脱離 / 化学修飾 / 量子化学計算 |
Research Abstract |
本研究の目的は、核酸塩基の水和構造を分子レベルで解明するために、これまで独自に開発を行ってきたレーザー脱離法-超音速ジェット法を用いて核酸塩基水和クラスターを生成し、その微細水和構造を決定することである。 「交付申請書」に記載したとおり、本助成により新たに波長可変赤外OPOレーザーを導入した結果、これまでの念願であった水和クラスターの赤外振動分光を行うことが可能となった。そこで、グアニンヌクレオシドであるグアノシンと2^<'->デオキシグアノシンの1、2水和物の赤外振動スペクトルを赤外-紫外レーザー2重共鳴法を用いて測定した。その結果、グアノシン2水和物で、糖の2'OH基を含む特異的な水素結合ネットワークが存在することが明らかとなった。更に、「研究実施計画」に記したように、糖をメチル基で置換した9-メチルグアニンの水和構造との比較を行い、糖への水和構造が存在することを直接的に示すことができた。このことは、糖の2<^'>-OH基が水和に重要な役割を果たすことを初めて示したもので、リボース基を持つRNAがデオキシリボース基を持つDNAに比べて構造的に硬いという核酸化学の分野でよく知られていることを、分子論的な立場から裏付けたものと考えられる。この成果は、多くの生体分子の水和構造と機能との関連性を研究する上で非常に重要になると考えられ、今後の飛躍的な発展が期待できる。 この成果は、既に雑誌論文(1)(2)として公表した。
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