2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20350085
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
小林 範久 千葉大学, 大学院・融合科学研究科, 教授 (50195799)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鎌田 俊英 産業技術総合研究所, 光技術研究部門, グループ長 (80356815)
植村 聖 産業技術総合研究所, 光技術研究部門, 研究員 (50392593)
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Keywords | ナノ材料 / 生体材料 / ポリペプチド / らせん高分子 / FETメモリ |
Research Abstract |
不揮発性メモリはユビキタス社会が形成されようとする現在,非常に大きな需要を有しており,様々な用途・デバイスに用いられている。本研究は,大きな需要を持つもののまだ有力な技術の無い印刷製造可能な不揮発性フレキシブルメモリの開発を,低環境負荷,軽量,生産性の観点から,生体系らせん高分子を用いて先駆的に発展させることを目的とした。このような印刷により作製されたフレキシブルメモリを実用化するためには、最大の課題である高い駆動電圧と低いメモリ保持時間を大幅に改善する必要がある。メモリ性能の1つの指標としては、オン電流とオフ電流の比が大きいことが求められ、実用化に耐えうるには少なくとも3桁以上のオン・オフ比が必要である。しかしながら生体高分子材料はイオン等の電界によって可動する不純物を含み易く、それを除去してオフ電流を下げること必要である。そこで本研究では千葉大学と産総研が有機的に連携を取りながら、ポリペプチドやDNA等のらせんポリマーを用いて、ウェットプロセスでメモリ素子を作製し、10Vでの駆動とメモリ保持時間1000時間を目指して研究開発をおこなった。具体的には、これまで生体高分子と界面活性剤とを分子レベルで複合化することで、生体高分子中に含まれる不純物イオンの影響を取り除くことを行ってきたが、さらに今年度はトランジスタの絶縁層を積層化することで、不純物除去後に微量に残留するイオンの影響を最小限に抑え、オフ電流の時間経過による上昇を抑えることに成功した。また絶縁層界面の表面エネルギーをコントロールすることで半導体の結晶性を上げ、結果としてオン電流を大幅な増加させることに成功した。その結果、オン・オフ比の最大値は世界最高値とほぼ同等の値が得られ、10Vの電圧でオン・オフ比10^4以上、またオン・オフ比10^3以上で1000時間以上のメモリを保持することが可能なメモリ素子を作製することができた。
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