Research Abstract |
ナノ材料の表面に異種原子の結晶を成長させ,これにより発生する巨大な真性ひずみを利用したナノ材料の曲げ加工技術を確立し,曲面を有する高次ナノ構造体創製を目的とする本研究の平成22年度の成果は以下のとおりである. 1.二つのシリコンマイクロカンチレバー先端の間隔,相対的角度,当該カンチレバー支持部の3軸平行移動,当該カンチレバー先端部を中心とした回転運動を,可能とした多自由度把持装置すなわちナノチップスティックスを開発した.光学顕微鏡下に本装置を設置し,ナノワイヤの散乱像をもとに,単一のナノワイヤの把持,移動が可能であることを実証した. 2.昨年度開発した管状合成炉を用いて,熱昇華法により酸化亜鉛のナノベルト,ナノワイヤ,櫛状体の大量合成に成功した.ここでは,従来から報告されている触媒(サファイヤ基板)を用いず,アルミナとシリカからなるセラミックス(HB材)を触媒として用いた.HB材は耐熱材として汎用的であり,またサファイヤ基板に比べ安価である. 3.被覆膜の真性ひずみ(不整合ひずみ)を駆動力としたナノワイヤの曲げ変形およびナノコイル形成を飛躍的に促進できるコア流動法(昨年度開発)の高精度化を目的に,コイル径に及ぼす被覆膜厚の影響を調べた.膜厚が1nm以下の場合,被覆効果が不完全のために,コイル形状効率が悪くなり,一方,膜厚を増加すると,不整合ひずみが低下して,コイル径を小さくする(曲率を大きくする)ことができない,という結果を得た,すなわち最適な膜厚が存在することがわかった。 4.マイクロカンチレバー先端近傍にナノコイルを形成し,さらに,これに通電するための,当該カンチレバーの配線加工方法を考案した 5.3次元分子動力学シミュレーションにより,被覆によるナノワイヤの曲げ-ねじれ連成の変形を確認した.また曲げを促進できる被覆材の選択に関する指針を得た
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