2010 Fiscal Year Annual Research Report
地球温暖に伴う極端化気象による高波・高潮災害予測と工学的評価
Project/Area Number |
20360220
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
間瀬 肇 京都大学, 防災研究所, 教授 (30127138)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 信人 京都大学, 防災研究所, 准教授 (90371476)
竹見 哲也 京都大学, 防災研究所, 准教授 (10314361)
河合 弘泰 (独)港湾空港技術研究所, 海洋情報研究領域, 領域長心得 (40371752)
黒岩 正光 鳥取大学, 工学部・土木工学科, 准教授 (10225279)
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Keywords | 地球温暖化 / 高波 / 高潮 / 強風 / 極端気象 |
Research Abstract |
本年度は、超高解像度全球大気モデルMRI-AGCMによるA1Bシナリオに基づく温暖化予測実験結果をもとに、将来の熱帯低気圧と高波の特性について分析を行った。これと並行して、GCMデータの気象場(海面更正気圧および海上風速)を直接入力値とし,それらを駆動力として与えて、日本沿岸における高潮シミュレーションを行った。 全球スケールでは、日本南・南東沖やメキシコ東沖、アメリカ東沖、マダガスカル島東沖等、熱帯低気圧のストームトラックに相当する海域の強風、高波の明確な強大化とその強風、高波海域が移動または拡張するという結果が得られた。日本近海では、冬季に、50年確率波高等の極大波高に有意な変化はないものの、強風、高波発生数の減少が見られた。一方、夏季には50年確率値において20%以上増加するという結果が得られた。。 高潮については、再現期間を100年とした場合の高潮偏差の確率値を推定した。その結果、東京湾における将来変化よりも、伊勢湾、三河湾での増大傾向が顕著であった。東京湾では2.3~3.4mに増大したのに対し、伊勢湾では22~2.6m、三河湾では2.5~3.2mと際だって増大した。現在気候で推算された房総半島東海岸や伊豆諸島周辺海域のピークは将来気候では現れず、御前崎(遠州灘)や志摩半島南岸(熊野灘)において大きくなった。瀬戸内海の場合と同様に、エリア依存性があることがわかった。瀬戸内海においては、周防灘での再現確率値が、現在気候に比べて大きく増大しており、西部沿岸での100年確率値は3.0~3.7mであった。また、燧灘では将来予測値は現在気候よりも小さくなったが、反対に、安芸灘および斎灘では大きくなった。このように、気候変動の影響によって高潮リスクが一様に増大するのではなく、領域によって変化傾向が異なることを明らかにした。
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Research Products
(5 results)