2008 Fiscal Year Annual Research Report
再利用可能なエンジニアリングセラミックスの開発と利用技術の確立
Project/Area Number |
20360410
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
阿部 修実 Ibaraki University, 工学部, 教授 (40231948)
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Keywords | 再利用 / エンジニアリングセラミックス / アルミナ / ジルコニア / 熱処理 / 酸化反応 / 強度回復 / 欠陥修復 |
Research Abstract |
本研究は, セラミック・マトリックスに微量添加したNiAlの酸化反応で生成するNiAl_2O_4の拡散によって材料に発生した欠陥を修復して再利用を可能にすることを目的としている。そのため, まず, NiAl/Al_2O_3材料を酸化処理して修復メカニズムを調べたところ, 酸化生成物は, 期待した通り, 速度1.1×10^<-9>cm^2・s^<-1>でマトリックス粒界を拡散して最大200μmまでの亀裂状欠陥を再結合することが確かめられた。再結合による欠陥サイズの収縮と修復部周辺に発生する圧縮応力によって修復材の強度と破壊靭性は母材を上回るほどに回復した。この現象を利用した再利用技術の確立のため, 人工欠陥の導入と修復を繰り返す"繰り返し亀裂修復試験"を行ない, 亀裂再結合と圧縮応力の寄与率をNiAlの添加量および修復回数の関数として明らかにした。その結果, 少なくとも10回の再利用が可能で, 50回までは母材性能の70%を維持できることがわかった。また, 初期には亀裂再結合の寄与率が高く, 再利用回数が多くなると圧縮応力の寄与率が増加すること, 酸化反応層が厚くなると保護層として作用することなどを明らかにした。一方, 摩耗損傷に対する修復効果の検討に先立って, マトリックス材Al_2O_3とY-PSZの摺動摩耗試験を行い, 摺動距離10mほどでも材料特性が大幅に低下することを明らかにして, NiAlを添加した再利用材を評価するための基礎データを得た。さらに, 汎用技術としての展開を図るため, Al_2O_3-PSZ系複合セラミックスをマトリックスとしてNiAlの酸化反応による特性変化を調べたところ, 酸化生成物の作用によりPSZの応力誘起変態強化機構が効率的され, 強度と靭性が大幅に改善されることが明らかとなった。
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