2010 Fiscal Year Annual Research Report
再利用可能なエンジニアリングセラミックスの開発と利用技術の確立
Project/Area Number |
20360410
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
阿部 修実 茨城大学, 工学部, 教授 (40231948)
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Keywords | 再利用 / エンジニアリングセラミックス / アルミナ / ジルコニア / 熱処理 / 酸化反応 / 強度 / 欠陥修復 |
Research Abstract |
(1)修復メカニズムの検証:摺動損傷の発生と強度変化の関係を開発材と単成分比較材を用いて検討した。比較材では,潜在欠陥から進展した亀裂により摺動距離200m以下で起こる初期の強度低下と,摺動距離1000m以上で亀裂が合体して微小剥離を生じることに伴う強度低下の2段階の過程が認められたが,開発材では分散質のNiAlが亀裂の発生と成長・合体をピニングして強度低下を抑えることがわかった。 (2)再利用技術の確立:摺動損傷による複雑な表面欠陥を破壊源サイズとして評価する方法を提案した。アルミナとジルコニア(Y-PSZ)では摺動距離1500mで破壊源サイズが潜在欠陥サイズの3倍以上に成長するのに対して,アルミナ系開発材では上記のピニング効果により破壊源サイズはわずかな増加に留まった。摺動損傷を導入した試験片に修復処理を施すと,摺動欠陥部に極めて微細なネットワーク上組織が形成されて微小欠陥の集合体が修復された。 (3)汎用技術としての展開:繰り返し欠陥修復,多数個の欠陥の同時修復,摺動損傷による極めて多数個の微小欠陥の修復は,いずれも分散質NiAlの酸化反応を利用した亀裂の再結合と修復部を取り囲むように発生する圧縮応力の寄与によって実現でき,摺動損傷の修復は単純欠陥の修復における再結合と圧縮応力に寄与率から予測できることがわかった。これにより,開発材を繰り返し再利用する際の修復指針が得られた。亀裂の再結合と圧縮応力の寄与率に加えて,酸化反応による応力誘起変態の促進を考慮すれば,この指針はジルコニア系開発材にも適用できる。また,分散質の添加量を変えて作製した積層型の材料では,表面層に300MPa程度の圧縮応力を予め発生させておくことが可能で,修復操作によってこれを400MPaまで高めて修復効果をより効果的に利用できることが明らかになった。この修復機構は他の材料にも拡張可能と考えられた。
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