2010 Fiscal Year Annual Research Report
赤外多光子解離による同位体分離における分子間衝突の効果
Project/Area Number |
20360422
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
横山 淳 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 上級研究主席 (20354821)
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Keywords | 赤外多光子解離 / 同位体分離 / 分子間衝突 / 振動分布 |
Research Abstract |
今年度は、2,3-ジヒドロピラン(C_5H_8O)の赤外多光子励起による振動励起分子の時間分解ラマン散乱スペクトル測定を行い、振動分布の時間変化観測法を確立した。照射セルに詰めた試料圧400-2000PaのC_5H_8Oに炭酸ガスレーザー光(発振振動数1050.4cm^<-1>、フルエンス0.6-0.9J/cm^2)を照射し、炭酸ガスレーザー光軸と対向してNd-YAGレーザーからの2倍波(532nm)を焦点距離15cmのレンズでセルの中心に集光することでラマンスペクトルを測定した。炭酸ガスレーザーパルスとNd-YAGレーザーの遅延時間を0-100μs変えることでラマン振動数807.2cm^<-1>(観測波長557.1nm)にピークを持つラマンスペクトルの時間変化を観測した。その結果、炭酸ガスレーザーパルス(半値幅200nsの鋭いピークに約2μSの裾をひくパルス波形)の時間内では、時間とともにラマンスペクトルピークおよび平均振動数が低波数側にシフトし、その後ほぼ一定となることを見出した。この振動数シフトは、振動の非調和性により振動励起するにつれて振動準位間隔が狭くなることに起因している。この非調和性による振動数変化をGaussian03によるB3LYP/6-31G(d,p)レベルの量子化学計算により見積もった結果(v=0→1に比べてv=1→2の間隔は1.696cm^<-1>だけ狭くなる)と平均振動数のシフト(試料圧2000Paで6.8cm^<-1>)および最大振動数シフト(18.7cm^<-1>)から、炭酸ガスレーザーフルエンス0.8J/cm^2で照射されたC_5H_8Oの平均および最大振動エネルギーは3219および8786cm^<-1>であることがわかった。
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Research Products
(4 results)