2009 Fiscal Year Annual Research Report
共同的社会が捕食者対抗戦略としてハダニ類で収斂進化したとする仮説の総合的検証
Project/Area Number |
20370006
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
齋藤 裕 Hokkaido University, 大学院・農学研究院, 教授 (20142698)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高田 壮則 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究院, 教授 (80206755)
佐原 健 北海道大学, 大学院・農学研究院, 助教 (30241368)
CHITTENDEN Anthony R. 北海道大学, サステイナビリティー学教育研究センター, 特任助教 (10431355)
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Keywords | ハダニ / 社会性 / 種分化 / 系統 / Stigmaeopsis / 天敵類 / 捕食者対抗戦略 / 収斂進化 |
Research Abstract |
国内およびニュージーランド、オーストラリアにおいて、ササ・タケ類、ススキ、カシ、シイ等の寄主植物に固有の造巣性ハダニ類を採集し、それらの行動生態、また対応する(同所的に発見される)天敵類の同定、行動解析を実施した。その結果、これまでカシに寄生する造巣性カシノキハダニに背毛の変異をもち巣のサイズを異にする変異個体群を発見した。これはスゴモリハダニにみられる社会変異と同じ要因による収斂進化の例である可能性が高い。また、オーストラリアにおいて、これまで知られていない特殊な造巣性ハダニを発見、その営巣パターン、形態および行動を明らかにすることができた。 種間関係、個体間関係(社会)を記述し、また解析するためのモデルを開発し、現在野外データをそれにあてはめて種間関係を導く論理を構築した。また、複雑な社会関係を簡潔に記述し、諸パラメータの重要性を明らかにするゲームモデルの開発に成功し、それを論文として公表した(Open Evol.J.)。採取されたハダニや天敵類のDNAを用いた分析もすでに始まっている。その一部として系統解析結果の論文をアメリカ昆虫学会誌(Ann Entomol Soc Amer)から公表した。 また、現在スゴモリハダニ類に動物界で例のない社会行動である糸を用いた巣内清掃行動が発見され、動物行動学会大会および日本応用動物昆虫学会において発表し、現在国際誌への投稿を準備中である。 また、これまで研究代表者が行ってきた一運の研究成果および平成20、21年度の成果を併せて、ハダニ類の社会性に関する英文専門書籍(代表者単著)を平成21年度12月にSpringer社から出版した(出版年は2010年となっている)。
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Research Products
(6 results)