2010 Fiscal Year Annual Research Report
共同的社会が捕食者対抗戦略としてハダニ類で収斂進化したとする仮説の総合的検証
Project/Area Number |
20370006
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
齋藤 裕 北海道大学, 大学院・農学研究院, 教授 (20142698)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高田 壮則 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究院, 教授 (80206755)
佐原 健 北海道大学, 大学院・農学研究院, 助教 (30241368)
CHITTENDEN Anthonyr. 北海道大学, サステイナビリティ-学教育研究センター, 特任助教 (10431355)
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Keywords | ハダニ / 社会性 / 種分化 / 系統 / Stigmaeopsis / 天敵類 / 捕食者対抗戦略 / 収斂進化 |
Research Abstract |
平成21年度の研究を継続し、春から夏にかけては、国内のスゴモリハダニよびその近縁種の野外調査を実施し、ハダニ類の採集、その生活型、すなわち巣サイズ、巣を形成する個体の齢構成、排出物処理行動等を調査した。さらに、ケナガスゴモリハダニやササスゴモリハダニについて同所性天敵イブリナガヒシダニを採集し相互作用を分析した結果、ケナガスゴモリハダニに特有の社会行動(後述の掃除行動)が、この天敵に対してその捕食者能力を発揮できないほどの打撃を与えていることが判明した。一方、ササスゴモリにはその行動が認められなかった。国内において実施したハダニ類の野外調査で、カシに寄生し、スゴモリハダニと同様に胴部背毛の長さと巣サイズに変異をもつ造巣性Schizotetranychusの2種を見いだし、ここでも雄どうしの激しい攻撃性があることを明らかにした。また、ススキスゴモリハダニの天敵への反撃行動について精査し、その効果はケナガスゴモリハダニと同程度であり、ここにも社会と反撃行動の共通した関係を認めるとともに、その効果が天敵種によって異なることも判明、これらの新知見は現在論文として一部公表済み(Yano et al.2011)、残りが投稿・審査中である。 飼育実験を通じて、被食・捕食関係の解析を実施、社会性ハダニについてはその社会構造の詳しい分析をVTRを用いて実施、ケナガスゴモリハダニに「糸による巣の掃除行動」という社会行動を初めて発見し、生物学の国際メジャージャーナルに発表した。さらに、越冬メスの受精の有無が春世代の血縁度に与える影響を明らかにすべく、飼育実験および細胞学的観察によって検討を続けている。それに基づいて、個体間の血縁度など社会成立の主要パラメータの推定を試みるためのモデルを構築中である。
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Research Products
(4 results)