2011 Fiscal Year Annual Research Report
共同的社会が捕食者対抗戦略としてハダニ類で収斂進化したとする仮説の総合的検証
Project/Area Number |
20370006
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
齋藤 裕 北海道大学, 大学院・農学研究院, 教授 (20142698)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高田 壮則 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究院, 教授 (80206755)
佐原 健 北海道大学, 大学院・農学研究院, 講師 (30241368)
CHITTENDEN AnthonyR. 北海道大学, サステイナビリティ-学教育研究センター, 特任助教 (10431355)
伊藤 桂 高知大学, 教育研究部総合科学系, 准教授 (40582474)
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Keywords | ハダニ / 社会性 / 種分化 / 系統 / Stigmaeopsis / 天敵類 / 捕食者対抗戦略 / 収斂進化 |
Research Abstract |
春から来春にかけては、国内のスゴモリハダニよびその近縁種の野外調査を実施し、ハダニ類の採集、その生活史、生活型、巣を形成する個体の齢構成、また排出物処理行動を調査した。また同所性天敵類を採集し捕食行動を分析した。さらに、飼育実験を通じて、被食-捕食関係の解析を実施、社会性ハダニについてはその社会構造の詳しい分析をVTR等を用いて実施した。その結果、種毎に反撃行動に微妙な差があること、また生活史にも変異が認められることが分かった。それらの成果の一部を4編の論文として公表した。そのうちの1編はスゴモリハダニにみられるまったく新しい社会行動の発見となり、生物学の世界では5指に入る研究誌に公表することができ、ヨーロッパおよび国内のマスコミで報道され、また2011年度における世界生物学1000の研究の1つに選ばれるなど、高い評価を受けた。また、これまで行動が、天敵の作用で収斂した結果ではないかと考えられていた2種のスゴモリハダニの複数個体群についての系統分析を行ったが、これらがやはり2種であり、残念ながら捕食者によって引き起こされた短期的な適応変化ではないことが判明した。また、夏から冬にかけて、他種目研究で中国に3度渡航し、その研究の合間にタケやササ、ススキに寄生するハダニ類の野外調査を実施した。特に、タケ寄生のSchizotetranychusの1種にこれまでみたこともない特殊な造巣型の生活型を発見し、それも天敵からの防御行動の結果であることを明らかにできた。上記の調査で採取されたハダニ類について、分類学的な検討およびDNA解析はほぼ完了した。また、越冬期の野外調査を通じて個体間の血縁度等、社会成立の主要パラメータを10年分蓄積することができた。現在それを使って個体群別の同巣個体間の血縁度等、社会成立の主要パラメータの推定するためのモデルを考案中である。
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Research Products
(6 results)