2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20370095
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
米田 穣 The University of Tokyo, 大学院・新領域創成科学研究科, 准教授 (30280712)
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Keywords | 骨考古学 / 日本人 / 縄文時代 / 古病理 / 古人口 |
Research Abstract |
本年度は、幼児骨に保存された窒素同位体比および放射性炭素年代の測定に係る前処理系を構築し、その精度評価を実施した。また、実際の資料として北海道網走市モヨロ貝塚から出土した幼児骨約40点を分析しぐ、およそ2才の個体まで、窒素同位体比が上昇している傾向が認められた。このことから、中世オホーツク文化集団では、(1)授乳期間の短縮がおこってい一ること、(2)離乳食は大人の食料が利用されており、植物質など特別な材料によるものを利用したのではないこと、が明らかになった。また、北海道伊達市有珠モシリ貝塚から出土した幼児骨約30体から分析試料を採取した(北海道文理大学所蔵)。また、東京都千代田区一橋高校遺跡から出土した江戸時代の幼児骨約50点から分析試料を採取したく聖マリアンナ医科大学所蔵)。同位体データから、過去の離乳習慣を復元するために、現代人の幼児成長曲線を基準として骨量増加を推定し、骨コラーゲンにおける同位体比の変化から、年齢ごとの食性の変化(すなわち離乳食の導入、増加、離乳完了)を検出するためのモデルを構築した。これによって、骨コラーゲンの窒素同位体比の変化から、実際に離乳力弐完了した年齢を推定することが可能となり、離乳習慣の変化による産児数増加の可能性を検討することが可能となった。ただし、母親における食性の変動をキャンセルせねばならず、さらにモデルを改良することが必要である。また、栄養ストレスなどを反映する歯のエナメル質減形成、幼児死亡パターン、乳歯の咬耗パターンの研究を行っている連携研究者と、2回の研究集会と1回の公開シンポジウム(於、日本人類学会大会)を実施し、さらに本研究に関するホームページを開設し、研究成果の発信を開始した。
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Research Products
(18 results)