2008 Fiscal Year Annual Research Report
高CO2・高温条件下におけるダイズのシンク形成機構
Project/Area Number |
20380009
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
國分 牧衛 Tohoku University, 大学院・農学研究科, 教授 (40323084)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邊 肇 新潟大学, 農学部, 准教授 (10292351)
鮫島 良次 東北大学, 東北農業研究センター寒冷地温暖化研究チーム, チーム長 (70355452)
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Keywords | ダイズ / 二酸化炭素濃度 / 高温 / 根粒 / 窒素固定 / 光合成 / シンク形成 / 葉温 |
Research Abstract |
将来予測される高CO_2・高温条件下においては、ダイズのシンク(黄実)形成が大きく影響を受けることが推測される。そこで、その形成機構を解明するため、温度勾配実験施設の中で、窒素固定能の異なるダイズ品種(根粒通常着生品種、根粒超着生系統、根粒非着生系統)を栽培し、異なるCO_2・気温に対する反応を解析した。その結果、高CO_2・高温条件では、1)生育量と収量は根粒通常着生品種と根粒超着生系統が根粒非着性系統を顕著に上回ること、2)光合成速度は生育前半では根粒超着生系統>根粒通常着生品種>根粒非着生系統であるが、生育後半は根粒超着生系統と根粒通常着生品種の差が小さくなること、3)窒素吸収量は根粒超着生系統>根粒通常着生品種>根粒非着生系統であるが、窒素の乾物生産効率は逆に根粒非着生系統>根粒通常着生品種>根粒超着生系統であること、4)高CO_2では晴天日に葉温が高くなること、などが分かった。このように、高CO_2・高温条件は生育前半では光合成速度と物質生産が顕著に促進され、その促進程度は窒素固定能に大きく影響されるが、窒素の利用効率は根粒による窒素能の高い系統で低下しやすいことが明らかになった。このような窒素利用効率や光合成能の低下には、高CO_2条件による葉温の上昇や窒素化合物と光合成産物の体内のバランスの変化が重要な要因であること示唆されたので、次年度はこの点を詳細に解析する。
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