2010 Fiscal Year Annual Research Report
ヒューマンセンシングシステムを活用した食品物性および香りの評価と制御要因の解明
Project/Area Number |
20380076
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松村 康生 京都大学, 農学研究科, 教授 (50181756)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小竹 佐知子 日本獣医生命科学大学, 食品科学科, 准教授 (60233540)
舘村 卓 大阪大学, 歯学研究科, 准教授 (60188266)
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Keywords | ヒューマンセンシング / 食品物性 / 香り / 嚥下 / ヘッドスペース / 咀嚼モデル器 / 脂質 / 軟口蓋運動 |
Research Abstract |
本研究は、ヒトの生体、それも感覚器に近接した場所にセンサーを取り付けて定量的な情報を取得する「ヒューマンセンシングシステム」を活用し、食品の香りおよび物性に関わる感覚を確とした物理定数、分析値として捉えるとともに、得られた結果を食品側の成分分析や物性分析の結果と定量的に関係づけることを目的としている。平成20年度は、それぞれの研究グループにおける測定技術の確立と基礎データの蓄積を主として行った。21年度は、その成果に基づき、グループ間での共同実験の条件確立を行い、いくつか得られた成果については、発表も行った。22年度は、前年度までの結果に基づき、互いの実験手法、実験条件について意見交換をしながら、共同で、あるいは個々に研究を遂行した。松村は、乳化系における香気の放散挙動が、pHや共存する多糖類、タンパク質の存在状態により大きく変化することを見出し、優れた香気特性を示す乳化飲料の開発につながる基礎的データを得ることができた。小竹は、主としてヒトを対象として、大豆などの食品の咀嚼特性と放散香気の関係について解析を進めた。その結果、ヒトの咀嚼によって発生し鼻腔で感じることのできる香気と、香気成分の蒸気圧ととの間に一定の関係性があることを見出した。この結果は、前年度までに行われた口腔咀嚼モデル装置を用いた実験結果とよく一致した。舘村は、固形食品の「飲み込みやすさ」「のど越し」等の官能評価と機器分析による物性評価が、両側咬筋筋活動や頤舌骨筋などの生体反応とどのように関連しているのかを解析した。その結果、チーズの「口溶けのよさ」が貯蔵弾性率の温度依存的な減少の程度に関連すること、あるいは「食べやすさ」が、嚥下までの総処理時間,咀嚼開始時と嚥下直前での筋活動量の差分の大きさに関係していることを見出した。
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Research Products
(14 results)