2009 Fiscal Year Annual Research Report
下痢性貝毒原因種Dinophysis属の増殖生理と毒生産能に関する研究
Project/Area Number |
20380116
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Research Institution | Fisheries Research Agency |
Principal Investigator |
神山 孝史 Fisheries Research Agency, 瀬戸内海区水産研究所 赤潮環境部, 室長 (60371803)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 敏之 独立行政法人水産総合研究センター, 中央水産研究所 利用加工部, 主任研究員 (70371804)
長井 敏 独立行政法人水産総合研究センター, 瀬戸内海区水産研究所 赤潮環境部, 主任研究員 (80371962)
西谷 豪 独立行政法人水産総合研究センター, 瀬戸内海区水産研究所 赤潮環境部, 研究等支援職員 (70450781)
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Keywords | 有毒プランクトン / 下痢性貝毒 / ディノフィシス / Dinophysis acuminata / Dinophysis fortii / 毒生産 / オカダ酸 / ペクテノトキシン |
Research Abstract |
Dinophysis acuminataとD.fortiiが増殖過程において生産する毒量の変化を詳細に調べた。10~22℃の範囲で両種の毒生産は温度の影響を受け、餌を活発に捕食することで毒を積極的に生産したが、生産された毒が主に細胞内に保有される成分と細胞外に活発に放出される成分があることが判明した。すなわち、毒成分であるペクテノトキシン2は増殖期間中に細胞内にほとんど存在し、培養終了時のD.acuminataとD.fortiiの本成分の細胞外放出毒量は全毒量のそれぞれ5%と2%にすぎなかったが、ジノフィシストキシン1とオカダ酸については培養時間とともに細胞外に放出する毒量が増加し、培養終了時のそれぞれの値はD.acuminata株で80%と81%、D.fortii株で80%と87%に達した。また、西日本にも高濃度で毒を産生するD.acuminataが分布することが明らかとなった。これらの成果の一部から「下痢性毒オカダ酸・ジノフィシストキシン群または脂溶性毒ペクテノトキシン群の製造方法」として特許申請を行った。また、Teleaulax amphioxeiaを餌料として培養した混合栄養繊毛虫類(Strombidium sp.)をDinophysis属にその餌料として与えたが、増殖は確認できなかった。なお、当初計画していたT.amphioxeiaへのGFP発現ベクター遺伝子の効率的な導入法については、導入に必要なストレスに対してT.amphioxeiaが耐性をもたず、その打開策の検討には多くの時間、予算等が必要となるため実施困難と判断した。次年度からはこの研究内容を中止し、Dinophysis属の毒生産能やそれに及ぼす環境条件の検討に焦点を移す。
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Research Products
(13 results)