2010 Fiscal Year Annual Research Report
北東アジア地域における広域的再生産構造の形成と農地所有構造の変貌
Project/Area Number |
20380128
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
堀口 健治 早稲田大学, 政治経済学院, 教授 (80041705)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田野 光彦 南九州短期大学, 国際教養学科, 教授 (30310949)
藤田 泉 県立広島大学, 生命環境学部, 教授 (90221027)
市川 治 酪農学園大学, 酪農学部, 教授 (20212988)
寺本 千名夫 専修大学北海道短期大学, 経済科, 教授 (40258710)
北原 克宣 立正大学, 経済学部, 准教授 (00289745)
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Keywords | 集団所有 / 請負経営権 / 農地の流動化 / 3条資格者 / 集落営農 / 農地保有合理化法人 / 中間保有 / 企業の農地借入 |
Research Abstract |
研究目的:アジアモンスーン地帯の農業構造に共通する特徴は、家族経営・家族による分業、分散した零細なるほ場(現代の機械化に適しない)、連作が可能な水田稲作を主にしており、米以外の農業地帯と比べて面積あたりの人口扶養力は高い。しかも水利の共同性が村落の共同体的性格を招来し、階層分解のスピードは弱い。だが一方で労働力の離農に伴い、労働生産性を上げる規模拡大が必要だがそのスピードは遅い。また経営面積を拡大しても、農地分散によるスケールデメリットが現れかねない状況にある。 他方、公的所有の中国農村、他の多くの私的所有の国の農村、この権利関係の異なりは大きい。本研究は農業構造改革の課題と農地の所有・利用構造との関連を明らかにする。 研究方法:主に中国、日本の農村の実態調査と先行研究をもとにした解析が主である。 研究成果:家族経営を基盤にした大規模経営化を模索する点で、中国と日本は共通する。中国の場合、一部に雇用を入れた資本的な経営が生まれてきているが、大半は家族経営の大規模化の段階にとどまり、請負経営権の貸借で農地の流動化を図っている。その場合、小面積経営が不足する農地を補うために借地する動きもあり、日本の戦後の状況によく似ている。一方で限界地を主に、他地域からの入作型借地・雇用経営も生まれている。 日本の場合は、家族経営の合体・吸収の動きが起こり始めており、農地の分散化を防ぎ、団地的な大経営の出現を図っている。特に限界地などでは大規模化・大団地で機械の効率的な使用を図らないと、耕作放棄がむしろ先行してしまう。また集落を主体にした家族経営の連合体も生まれ、一つの方向ともなり、あるべき方向を限定できない。 これらの中国と日本の差は、時間差・発展の段階差のみとは位置づけられず、全体の土地利用を主にした所有権のそれへの従属化の課題でもあるように思われる。
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Research Products
(2 results)