2009 Fiscal Year Annual Research Report
哺乳動物の新たな人工授精システム構築に向けた雌性生殖道内の免疫制御技術の開発
Project/Area Number |
20380154
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
舟橋 弘晃 Okayama University, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (50284089)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 康博 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (90108126)
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Keywords | 多核白血球 / 精子 / ウシ / ブタ / ラット |
Research Abstract |
ラットをウシやブタのモデルとして凍結精液希釈液を用いて人工授精した後の子宮腔への多核白血球の出現および食能を調べたところ、卵黄を希釈液に添加した場合に有意な多核白血球の出現刺激が認められ、子宮内の多核白血球数は有意に増加した。 そこで、卵黄がウシおよびブタの多核白血球の走化性および貪食能に及ぼす影響について解析したところ、ウシおよびブタの多核白血球の走化性がともに有意に刺激されたものの、貪食能に関しては種差が存在することが明らかになった。 また昨年度、カフェインおよびヘパリンの存在下でウシ及びブタ多核白血球の走化性及び貪食能が低下することを見出したので、今年度は細胞内cAMPの上昇およびPKCの刺激がウシ及びブタ多核白血球の走化性及び貪食能に及ぼす影響について調べるために、dibutyryl cAMPおよびPMAを添加してその後の多核白血球の走化性及び貪食能を体外で評価した。その結果、dibutyryl cAMPの添加は、多核白血球の走化性及び貪食能をともに低下させ、代わりにPMA添加によるPKCの刺激は、多核白血球の走化性及び貪食能をともに促進した。この結果から、多核白血球の走化性及び貪食能の調節が十分可能であることが示唆された。 さらに、精漿に対するウシ及びブタ多核白血球の走化性及び貪食能の影響について調べたところ、走化性及び貪食能は精漿によって有意に低下した。精漿無添加の場合、ブタ多核白血球の精子による活性化には細胞内カルシウムイオン([Ca2+]i)の一過性の上昇が認められたが、精子による[Ca2+]iの上昇は添加した精漿濃度に依存して低下し、100%精漿添加精子による上昇は観察されなかった。しかし、100%精漿添加条件下に血漿を精子とともに添加するとブタ多核白血球の細胞内カルシウムイオン([Ca2+]i)の一過性の上昇が再び認められた。このことから、血漿内の成分に細胞内カルシウムイオン([Ca2+]i)の一過性の上昇を通してブタ多核白血球を活性化させる効果のあることを明らかにした。
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