2010 Fiscal Year Annual Research Report
哺乳動物の新たな人工授精システム構築に向けた雌性生殖道内の免疫制御技術の開発
Project/Area Number |
20380154
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
舟橋 弘晃 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (50284089)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 康博 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (90108126)
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Keywords | 多核白血球 / 精子 / ウシ / ブタ / 精漿 / 卵黄 / カフェイン |
Research Abstract |
ブタ精漿がブタおよびウシ多核白血球による同種精子への走化性におよぼす影響について調べたところ、ブタ精漿を5%以上添加することでその走化性は有意に低下し、ウシで5%以上、ブタで10%以上のブタ精漿を添加することで最大の走化性の低下が認められた。 次に、同様にブタ精漿がブタおよびウシ多核白血球による同種精子の貪食能におよぼす影響について調べたところ、走化性と同様、ブタ精漿を1%以上添加することでその貪食能は有意に低下し、ウシで5%以上、ブタで10%以上のブタ精漿を添加することで最大の貪食能の低下が認められた。 また、ブタ精子およびウシ精子浮遊液への卵黄の添加がブタおよびウシ多核白血球による同種精子への走化性におよぼす影響について調べたところ、有意に走化性を刺激したが、同液へのカフェインまたは精漿の添加は、その走化性の促進を卵黄無添加区と同じ程度にまで低下させることを明らかにした。 一方、ブタ糟子およびウシ精子浮遊液への卵黄の添加がブタおよびウシ多核白血球による同種精子の貪食能におよぼす影響について調べたところ、ブタ精子浮遊液への卵黄の添加は、同種多核白血球による貪食能を著しく刺激するが、ウシ精子浮遊液への卵黄の添加は同種多核白血球による貪食に全く影響しなかった。さらに、卵黄を添加したブタ精子浮遊液へのカフェインまたは精漿の添加は、刺激された同種多核白血球による貪食能を卵黄無添加区と同じ程度にまで低下させることを明らかにした。 以上の結果から、ウシと比較してブタでは、凍結精液に添加される卵黄の存在に対する多核白血球の貪食能おける感受性が極めて高いことを明らかにした。この差が、凍結精液による人工授精後の受胎成績の差に反映している可能性が示唆される。さらに、ブタ凍結精液へのカフェインや精漿の添加は、この多核白血球の卵黄に対する感受性を低下させるのに有用であることを明らかにした。
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Research Products
(2 results)