2010 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子組換えオオムギを用いた家畜疾病予防法(食べるワクチン)開発のための基礎研究
Project/Area Number |
20380167
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松本 安喜 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 准教授 (90251420)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山川 隆 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 准教授 (20134520)
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Keywords | 食べるワクチン / オオムギ / 経口免疫 / 家畜 / 疾病予防法 |
Research Abstract |
我々は、これまでに、ブタ回虫の感染防御抗原であるAs16蛋白を産生するイネを作出し、その種子をマウスに摂食させることにより、ブタ回虫感染防御効果を得られることを明らかにしたが、産生されるワクチン抗原産生のさらなる効率化が必要であった。また、コメは家畜飼料ではないが、トウモロコシやオオムギは家畜飼料として実際に利用されていることから、本研究は、ワクチン発現媒体としてオオムギに注目し、ブタ大腸菌症およびブタ回虫症をモデルとして、ブタの感染症予防のためのワクチン投与法として、組換えオオムギの種子を用いた食べるワクチンの作出およびその傾向免疫効果の評価を目指している。本年度は、前年度に新たに作成したAs16および毒素産生性大腸菌のfedF抗原タンパク質をコードする遺伝子を、バイナリーベクター系のプラスミドPAM470内に挿入したホルデインDプロモーターの下流に組込んだ発現ベクターを、従来のアグロバクテリウムを用いた遺伝子導入法、および花粉(microspore)への遺伝子導入法を試みた。アグロバクテリウム法では、合計1,312の胚性カルスを用いたが、選択培地上のカルスよりビアラホス耐性のシュートは22個認められたが、再分化体は、fedF導入オオムギおよびAs16導入オオムギで各1個体ずつであった。fedF導入個体では、PCRにより染色体への導入遺伝子の組込みは確認されず、一方、As16導入個体では、PCRにより、再生体の葉より導入遺伝子断片らしきバンドが得られたが、増幅遺伝子内にオオムギ由来と思われる遺伝子が挿入されていた。花粉への遺伝子導入では、同時に行ったコムギでは再生体が得られたが、オオムギ花粉を用いた実験では、再生体は得られなかった。一方、fedF蛋白の活性部位を大腸菌において産生することに成功し、マウスに免疫したところ、抗体産生が確認された。これらの抗体は、今後組換え植物内に産生されたfedFの検出に使用可能であると思われる。
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