2008 Fiscal Year Annual Research Report
犬の毛包幹細胞の同定と再構築ならびに創傷治癒への応用
Project/Area Number |
20380171
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
岩崎 利郎 Tokyo University of Agriculture and Technology, 大学院・共生科学技術研究院, 教授 (50262754)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西藤 公司 東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究院, 講師 (20365422)
大山 学 慶応義塾大学, 医学研究科, 講師 (10255424)
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Keywords | 毛包 / 幹細胞 / 犬 / 創傷治癒 |
Research Abstract |
本研究では人やマウスで認められているのと同様に、犬の毛包に表皮の幹細胞と考えられる細胞が存在するのかどうかについて、またそれらを同定する方法があるのかどうかを、研究1年目の目標としてそれを実施した。 最初に犬の毛包上皮細胞を顕微鏡下でマイクロダイセクションにより4つの部分に区分し、各部分のケラチノサイトを分離培養した結果、いわゆる毛包膨大部と呼ばれる中間よりやや上で脂腺開口部付近からえられたケラチノサイトは、表皮ケラチノサイトと比較して、幹細胞の特徴の一つであるホロクローンを形成する率が高かった。これらの部分の細胞をBrdUを用いた免疫組織染色を行ったところ、これも幹細胞の特徴の一つである他の部分より増殖が遅いことが示唆された。さらに犬の表皮ケラチノサイトと毛包膨大部のケラチノサイトを継代培養したところ、表皮ケラチノサイトでは5〜6代しか継代できなかったのに対し毛包膨大部細胞は15〜17代の継代が可能であった。さらに、人およびマウスの幹細胞の細胞表面マーカーであるCD34あるいはケラチン15の免疫染色を上記4つの部位について実施した結果、中間部分である毛包膨大部細胞に強い陽性染色結果が得られた。以上のことから犬の毛包膨大部には人やマウスで認められるのと同様な毛包幹細胞の特徴を備える細胞が存在する可能性があると考えられ、CD34あるいはケラチン15などのマーカーを用いることにより、これらの細胞を毛包上皮細胞から分離することが可能であると推察した。今後、さらなる細胞マーカーを発見し、セルソーターによる分離培養を試みる。また、ヌードマウス皮膚にこれら細胞を移植することにより、毛包の再構築が可能になると思われる。
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