2008 Fiscal Year Annual Research Report
高病原性トリインフルエンザウイルスの新型ヒトウイルスへの変異機構の解明と創薬
Project/Area Number |
20390028
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
鈴木 康夫 Chubu University, 生命健康科学部, 教授 (00046278)
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Keywords | トリインフルエンザウイルス / 変異 / 創薬 / インフルエンザウイルス / シアル酸 / レセプター / ヘマグルチニン / 抗インフルエンザ |
Research Abstract |
1.トリおよびヒトインフルエンザウイルスのレセプターシアロ糖鎖認識の相違を、X線結晶解析の結果などを含めて物理化学的3次元的視点から解明した。 2.高病原性トリインフルエンザウイルスおよびそのヒト型変異ウイルスのレセプター結合特異性を区別して測定する新しい手法を開発した。 3.近年、インフルエンザ発症と関わるとされる小児等の異常行動が報告されている。本研究では、現在臨床適用されている抗インフルエンザノイラミニダーゼ阻害薬(タミフル、リレンザ)のヒトシアリダーゼ(4種類, Neul-Neu4)の阻害の有無を検証した。 4.トリ型ウイルスがなぜヒト型ウイルスへ変異するのか。その機構を明らかにするため、インフルエンザウイルスのレセプターシアロ糖鎖受容体(N-結合型糖鎖)構造を解析した。その結果、トリウイルスが増殖しやすいニワトリ発育鶏卵しょう尿膜細胞にはトリウイルス受容体(Neu5Ac2-3Gal)が多く、ヒトウイルスが増殖しやすい羊膜細胞にはヒトウイルスレセプター(Neu5Ac2-6Gal)が多い事を見出した。 5.宿主細胞膜のスルファチドは、インフルエンザウイルスの増殖を促進すること、その機構は、核内で合成されたウイルスのヌクレオプロテインの核外移送の亢進にあることを始めて明らかにした。 6.Neu5Ac α 2-3 (6)(LacNAc)n (n=1-3)構造を持つシアロ糖鎖を有機化学-酵素化学的に合成した。この構造は高病原性トリインフルエンザウイルスやヒトウイルスのレセプター構造を疑似させたものであり、ウイルスの感染を強く阻害することを見出した。
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