2011 Fiscal Year Annual Research Report
高病原性トリインフルエンザウイルスの新型ヒトウイルスへの変異機構の解明と創薬
Project/Area Number |
20390028
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
鈴木 康夫 中部大学, 生命健康科学部, 教授 (00046278)
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Keywords | インフルエンザウイルス / 鳥インフルエンザウイルス / レセプター / パンデミック / シアル酸 / 創薬 / 変異 / 新型インフルエンザ |
Research Abstract |
1)高病原性鳥インフルエンザウイルス(H5N1)がヒト型のレセプターを認識できるためにはH5ヘマグルチニン(HA)分子内のわずか4つのアミノ酸置換が重要であることを初めて明らかにした。そしてその4つのアミノ酸の同定に成功した。この変異は、フェレット間の飛沫感染も可能とすることを確認した。本結果から、H5のHAタンパク質を持ち、かつほ乳類でよく感染するウイルスが存在可能であることが示された。ここで得られた変異の情報は今後のサーベイランスに活用できると共に、HAタンパク質の安定化に寄与するという新しいタイプの変異の存在が明らかになったことで、今後のウイルス研究にも役立っていくものと期待される。 2)我々は以前、ヒト型のレセプターに結合できる鳥インフルエンザウイルスをウズラから分離した。本研究では、カモインフルエンザウイルスが実際にウズラで実験的に継代される間に、ヒト型レセプターへの適応性を獲得するのか否かを検証した。その結果、ヘマグルチニンへの点変異、ノイラミニダーゼスパイクのアミノ酸配列の欠損が起こり、カモウイルスがヒト型受容体への適応性を部分的に獲得することを見出した。 3)2009年に世界流行となったインフルエンザウイルス株の感染性、同ウイルスの宿主への結合に関わるHA機能、さらにウイルスの宿主からの出芽やウイルスの増殖に関わるノイラミニダーゼスパイクの機能を阻害する物質が、グアバ(Psidium Guajava Linn.)葉茶に含まれていることを明らかにした。これにより、日常的に摂取出来る食材に新しいタイプの抗インフルエンザウイルス分子が含まれていることが明らかとなった。さらに、いくつかの化学合成シアロ糖鎖分子にインフルエンザウイルス感染阻害活性を見出した。
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