2008 Fiscal Year Annual Research Report
老化に伴う糖鎖の機能的変化と老化関連疾患に関する研究
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20390031
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
遠藤 玉夫 Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology, 東京都老人総合研究所, 研究部長 (30168827)
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Keywords | 老化 / 糖鎖 / アルツハイマー |
Research Abstract |
本研究は老化の分子機構および老化関連疾患、特にアルツハイマー病の病態解明にアプローチし、蛋白質の機能調節に関わる糖鎖の役割の解明を目的とする。本年度は、家族性アルツハイマー病に見られるアミロイド前駆体蛋白質(APP)のアミノ酸変異によるAPPの糖鎖への影響を解析した。 アルツハイマー病ではβアミロイド(Aβ)の脳内蓄積が神経変性の原因となることから、その前駆体であるAPPの代謝過程が注目されている。糖蛋白質上の糖鎖は蛋白質の物性等に影響することから、蛋白質分解酵素に対する感受性を変化させる可能性も指摘されている。今回、正常型と2種類の変異型APPを神経由来培養細胞で発現させ精製後、ヒドラジン分解法によりN結合型糖鎖を遊離し、各種カラムクロマトグラフィー及び酵素逐次分解法で分析した。各APP由来糖鎖は2本鎖及び3本鎖複合型が主要糖鎖であった。正常型と比較して変異型にはbisecting GlcNAc及びFucoseを有する糖鎖の存在比が高かった。この糖鎖変化は2つの変異型に共通しており、糖鎖がAPP代謝に影響する可能性が強く示唆された。弧発性アルツハイマー病においてもAPPの糖鎖変化によりAPPの代謝異常が誘導されている可能性が考えられる。現在、糖鎖変化がAPPの代謝にどのように関与しているのか細胞レベルで検討している。また、このように変化した糖鎖の代謝に関わる関連遺伝子が、アルツハイマー病患者脳で変動しているかどうかを調べることが興味ある新たな課題となった。
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Research Products
(3 results)