2009 Fiscal Year Annual Research Report
老化に伴う糖鎖の機能的変化と老化関連疾患に関する研究
Project/Area Number |
20390031
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital and Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
遠藤 玉夫 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都, 研究部長 (30168827)
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Keywords | 老化 / 糖鎖 / アルツハイマー |
Research Abstract |
本研究は老化の分子機構および老化関連疾患、特にアルツハイマー病の病態解明にアプローチし、蛋白質の機能調節に関わる糖鎖の役割の解明を目的とする。昨年度に、家族性アルツハイマー病に見られる変異型APPのN型糖鎖を解析し、変異型APPでは正常型APPに比較してbisecting GlcNAc構造を持つ糖鎖が顕著に増加していることを明らかにした。そこで本年度は、bisecting GlcNAcを合成する糖転移酵素GnT-IIIとAPP代謝との関連について検討した。 まず、アルツハイマー病患者の脳におけるGnT-IIIの発現量をリアルタイムPCR法により解析した。その結果、アルツハイマー病脳では健常脳と比較してGnT-III mRNAの量が症状の進行に伴って有為に増加していた。次に、マウス神経芽細胞株Neuro2aを用いてGnT-IIIの強制発現によるAβ産生への影響を調べた。GnT-III強制発現細胞ではコントロール細胞に比べAβ40とAβ42の産生量がいずれも約4割減少した。また、Aβペプチドを添加して細胞を培養したところ、Aβ42の添加によりGnT-III mRNAの発現増加が認められた。以上より、アルツハイマー病脳で見られるGnT-III mRNAの増加は、Aβの産生を抑えるための防御反応である可能性がある。一方、我々がこれまで明らかにした老化脳でリソソーム酵素であるカテプシンDが細胞質に蓄積する現象は、神経細胞とアストロ細胞による検討の結果、酸化ストレスとプロテアソームが関与することが明らかになった。今後、細胞質に蓄積したカテプシンDが蛋白質分解酵素として働き、老化に伴う細胞の機能低下と関連しているかが新たな課題となった。
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Research Products
(6 results)