2010 Fiscal Year Annual Research Report
老化に伴う糖鎖の機能的変化と老化関連疾患に関する研究
Project/Area Number |
20390031
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
遠藤 玉夫 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究部長 (30168827)
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Keywords | 老化 / 糖鎖 / アルツハイマー |
Research Abstract |
本研究は老化の分子機構および老化関連疾患、特にアルツハイマー病の病態解明にアプローチし、蛋白質の機能調節に関わる糖鎖の役割の解明を目的とする。これまでに、アルツハイマー病患者脳においてGnT-IIIの発現が増加することと、GnT-IIIにAβ産生の抑制作用があることを明らかにした。本年度は、APP代謝におけるGnT-IIIの働きについて解析した。その結果、GnT-IIIはTACEとBACEの糖鎖を変化させ立体構造に影響することと、BACEの発現量を減少させることが明らかとなった。ところで、GnT-IIIによるAβ産生抑制作用はアルツハイマー病の新たな予防および治療法開発に応用できる可能性がある。そこで、GnT-IIIの発現を誘導する食品成分などの化合物の探索を検討した。神経系の培養細胞に食品成分などの天然化合物を添加し、GnT-III mRNAの発現量を定量PCR法により評価する方法でスクリーニングを行った。これまでに、ある種のポリフェノールにおいてGnT-IIIの発現増加作用がある可能性を見いだした。昨年酸化ストレスが蛋白質の代謝に影響を与えることを培養細胞レベルで報告したが、今年度は長寿モデルと考えられる105歳以上の高齢者の血液を調べた。その結果酸化ストレスに関連する蛋白質が変動していることが明らかになった。ヒト老化モデルにおいて酸化ストレス蛋白質の変動が初めて明らかになり、健康長寿では酸化ストレスへの適応応答が重要であることが示唆された。老化モデルマウスKlotho肺での組織障害に関連すると考えられる糖鎖の異常に関する研究を実施し、検出された異常糖鎖は組織全体に一様に増加しているわけではなく、ある細胞画分に特異的に蓄積していることが明らかになった。現在、異常糖鎖の構造解析を進行中である。
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Research Products
(10 results)