2009 Fiscal Year Annual Research Report
薬剤の中枢応答性を支配する薬物輸送機構の定量的評価法の開発
Project/Area Number |
20390046
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
楠原 洋之 The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 准教授 (00302612)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 和哉 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助教 (00345258)
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Keywords | 薬学 / 薬剤反応性 / 脳・神経 / 血液脳関門 / トランスポーター / 分子イメージング |
Research Abstract |
P-gpやBcrp基質となる薬物は血液脳関門で能動輸送を受けるため、脳内非結合型薬物濃度が血漿中非結合型薬物濃度に低く保たれていることを明らかにした。しかし、脳脊髄液中濃度を指標とした場合、P-gpやBcrp基質であっても、脂溶性の高い薬物では脳内非結合型薬物濃度との間に乖離がないことを明らかにした。種々ノックアウトマウスを用いることで、血液脳関門でくみ出される薬物群に関する知見を得た。血液脳関門に発現する有機アニオントランスポーターOat3のノックアウトマウスでは、probenecidにより、DHEASやbenzylpenicillin等Oat3基質となる薬物の消失の遅延が観察され、Oat3以外にもこれら薬物の汲み出しに働くトランスポーターの関与が示唆された。血液中にbenzylpenicillinを投与した場合、Oat3(-/-)マウスでは特に脳脊髄液中濃度の増加が顕著に観察されたが、PAH、6-mercaptopurineの脳内動態に変動は見られなかった。Mrp4(-/-)マウスでは、methotrexate, raltitrexedなど葉酸アナログやcefazolinの脳内濃度、特にmethotrexate, raltitrexedについては脳脊髄液中濃度の増加も観察され、Mrp4が異物排泄トランスポーターとしてこれらの薬物の中枢移行を抑制していることを明らかにした。一方で、Mrp4による輸送活性は高いものの、olmesartanやpitavastatainの脳内濃度はノックアウトによる影響を受けなかった。これらの薬物は血漿中での蛋白結合が強いことから、みかけ上ノックアウトによる脳内濃度の増加が観察されないものと考えている。
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