2010 Fiscal Year Annual Research Report
薬剤の中枢応答性を支配する薬物輸送機構の定量的評価法の開発
Project/Area Number |
20390046
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
楠原 洋之 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 准教授 (00302612)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 和哉 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助教 (00345258)
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Keywords | 薬学 / 薬剤反応性 / 脳・神経 / 血液脳関門 / トランスポーター / 分子イメージング |
Research Abstract |
血液脳関門は血液中から中枢神経系への異物の侵入を制限する関門として働き、医薬品の中枢暴露を制限している。血液脳関門における能動的関門機構の実体解明ならびにin vivoで評価可能なプローブ薬を探索した。Mrp4基質について、これまで全脳で評価していたが、部位別に分けて再評価したところ、小脳特異的に薬物濃度(methotrexate)の増加が見られた。大脳皮質ではMrp4(-/-)マウスでのみGF120918による脳内濃度の増加が観察され、大脳皮質ではMrp4を含む複数のトランスポーターが排出に関与していることが示唆された。こうした血液脳関門における能動的排出輸送が脳実質内での非結合型薬物濃度に与える影響を定量的に評価するため、脳脊髄液を指標に用いて、in vivo試験を行った。能動輸送を受ける薬物は脳脊髄液中濃度に比べて実質内の非結合型薬物濃度は低く、脳脊髄液を指標としたPKPD解析では過小評価されることを明らかにした。P-gp、Bcrp選択的な基質はそれぞれのノックアウトにより濃度差は消失し、P-gp、Bcrp共通基質についてはP-gp・Bcrpのダブルノックアウトマウスで初めて濃度差が消失することを実証し、濃度差を生じる要因としての排出トランスポーターの重要性を明らかにした。排出輸送に加えて、ヒト脳毛細血管由来不死化内皮細胞株(D3細胞)で、amantadineなどのカチオン性薬物について飽和性輸送を観察した。amantadine,olanzapineについては、pyrilamineによる対向促進も観察されたことから、飽和性は細胞膜に発現するトランスポーターに由来することが示唆された。BCRP基質となるdantroleneおよびsulpirideの11C体を合成した。Bcrp(-/-)マウスでの脳内濃度の増加は軽微であり、かつサルではバックグラウンドレベルであり、PET試験への適用は困難と判断された。
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