2009 Fiscal Year Annual Research Report
筋性疼痛における筋由来神経成長因子(NGF)の役割
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20390063
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
水村 和枝 Nagoya University, 環境医学研究所, 教授 (00109349)
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Keywords | 筋性疼痛 / 神経成長因子 / 遅発性筋痛 / ブラジキニン / 神経因性疼痛 / 機械痛覚過敏 / ラット / 細径線維受容器 |
Research Abstract |
筋性疼痛、特に機械痛覚過敏(圧痛)の末梢性機構を解明することが大きな目的である。その中で本研究は、最近申請者らのグループが遅発性筋痛モデルにおいて筋機械痛覚過敏に関わることを見出した、筋由来神経成長因子(NGF)の役割を解明することが目的である。本年度は、ラットにおいて、遅発性筋痛が抗NGF抗体の筋肉内投与により減弱すること、ラットNGFの筋肉内投与により用量依存的に筋痛覚過敏が生じること、NGFが筋細径線維受容器の機械刺激に対する反応を感作することがわかった。また、運動中に産生され、遅発性筋痛をトリガーするブラジキニンによってB2受容体を介して筋におけるNGF産生が引き起こされること、しかしブラジキニンだけでは持続の長い筋機械痛覚過敏を引き起こすことはできず、収縮によって生じる何らかの因子がさらに必要であることを明らかにした。さらに、神経因性疼痛モデル(L5脊髄神経結紮切断モデル)において、主としてL5脊髄神経で支配される腓腹筋内側頭において、筋痛覚過敏が存在する手術後1,2週の時点でNGFの産生が増大していることが明らかになった。本研究により筋性疼痛におけるNGFの重要性が明らかになった。また、GDNFもNGFに類似した時間経過で筋内において発現が増大し、これはCOX-2阻害薬を運動前に投与することにより抑制された。また抗GDNF抗体の筋肉内投与により遅発性筋痛が減弱した。これらのことからCOX-2の下流でGDNFが筋機械痛覚過敏に関与していることを明らかにした。また、培養後根神経節細胞においてパッチクランプ記録を行い、機械刺激による電流がブラジキニンにより増強することを見出し、培養細胞系でも機械痛覚過敏の細胞内機構を調べることが可能であることが示唆された。
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