2009 Fiscal Year Annual Research Report
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20390099
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
戸田 達史 Kobe University, 医学研究科, 教授 (30262025)
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Keywords | 分子遺伝学 / 認知機能 / IQ / 一卵性双生児 / 網羅的遺伝子発現解析 / 網羅的DNAメチル化解析 / 炎症性サイトカイン / エピゲノム |
Research Abstract |
本年度は、IQ差の顕著な一卵性双生児を用いた網羅的遺伝子発現・DNAメチル化解析を行った。認知機能は多因子形質であり、遺伝要因と環境要因の影響を受けることが明らかになっている。一部の一卵性双生児では兄弟間に顕著な知的レベルの不一致が認められる。この現象は、一卵性双生児間における認知機能関連遺伝子のエピジェネティックな相違やゲノムのde novo変異の存在を示唆している。 認知機能に関するエピジェネティックな要因の同定を目指し、IQ差の顕著な一卵性双生児6組12検体のリンパ芽球由来RNAを用いてAffymetrix HG U133 plus 2.0 arrayによる遺伝子発現プロファイリング解析を行なった。アレイから得られた発現値は兄弟毎にRobust Multichip Average methodで補正し、Gene Set Enrichment Analysisによって兄弟間で有意に発現の変動が見られる遺伝子群を抽出した。結果、それぞれの双子のIQが低い方の検体で、炎症性サイトカインの発現が上昇する傾向にあることが明らかになった。 また、遺伝子発現とDNAメチル化の関連を調べるため、リンパ球由来ゲノムを用いて網羅的DNAメチル化解析を行なった。マイクロアレイにはAffymetrix Human Promoter 1.0R arrayを使用した。アレイのデータはquantile normalizationによって補正し、wilcoxon signed-rank testによって兄弟間のメチル化状態に顕著な違いが見られる領域を候補メチル化領域として抽出した。これらの領域のメチル化状態をより定量的なbisulfite genomic sequencingで確認したが、双子の兄弟間に有意な差は見られなかった。今後はパラメトリック解析による兄弟間のメチル化変動領域の同定を目指す。
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