2009 Fiscal Year Annual Research Report
リアルタイムイメージングを利用したヘルペスウイルス感染細胞の時空間的解析
Project/Area Number |
20390130
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川口 寧 東京大学, 医科学研究所, 准教授 (60292984)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上間 匡 東京大学, 医科学研究所, 特任研究員 (70456193)
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Keywords | HSV / リアルタイムイメージング / ウイルス粒子成熟 |
Research Abstract |
我々は既に、単純ヘルペスウイルス(HSV)の3つの主要構成因子(カプシド、テグメント、エンベロープ)をそれぞれ異なる蛍光蛋白で同時に標識した3色ウイルス(YK608)を世界ではじめて作製し、感染生細胞におけるウイルス粒子成熟過程のリアルタイムイメージング系を確立した。YK608を共焦点レーザー顕微鏡でリアルタイムイメージングすることにより、HSV感染細胞の基底面に3つの主要ウイルス構成因子(カプシド、テグメント、エンベロープ)が同時に集積し、そこでウイルス粒子成熟が起こることが強く示唆され、粒子成熟の場"assembly sites"と命名した。本年度は、Assembly sitesで実際に粒子成熟が行われていることをウイルス粒子レベルで証明するためにリアルタイムイメージングで観察したものと同一の細胞を電子顕微鏡解析に供した。その結果、assembly sitesにおいて、成熟ウイルス粒子や、ヌクレオカプシドがエンベロープを獲得している像など、ウイルス粒子成熟過程に観察される典型像を確認することができ、assembly sitesにおいてウイルス粒子成熟が行われていることが証明された。これにより、YK608のリアルタイムイメージングで得られる画像によってウイルス粒子成熟過程を1ウイルス粒子レベルで観察可能であることが明らかとなった。さらに、より培養シャーレのガラス面に近い部分ではウイルス粒子の周囲の電子密度が低く、成熟粒子は細胞外へ放出されていることが示唆された。以上のことから、図5のように基底面assembly sitesでは、ウイルス粒子の成熟と細胞外へのウイルス粒子放出が起きていることが考えられた。ウイルス因子に蛍光蛋白質を標識した組み換えウイルスを10種類作製することに成功し、それらのリアルタイムイメージングを行うことによって当該ウイルス因子の感染細胞における時空間的解析を行うことが可能となった。
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Research Products
(5 results)