2008 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトヘルペスウイルスの病原性発現に関与する因子の同定と機能解析
Project/Area Number |
20390138
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
森 康子 Kobe University, 大学院・医学研究科, 教授 (50343257)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武本 眞清 独立行政法人医薬基盤研究所, 基盤研究部, 研究員 (60379237)
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Keywords | 遺伝子発現 / 細胞向性 / ウイルス感染 / 病原性 |
Research Abstract |
ヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)は初感染時に引き起こされる発熱や突発性発疹に伴って稀に脳症を併発することがある。また、骨髄や臓器移植後に高頻度に再活性化して脳炎を引き起こす場合もある。しかし、その発症メカニズムは未だ不明である。今回我々は神経系細胞としてアストロサイトーマ1(株U373)と神経芽腫細胞株3株(1MB-32, SCCH-26, NB(TU)1-10)を用いて、HHV-6B HST株の神経系感染モデルを検討した。 感染5日後に初期タンパクU27と後期タンパクgQの発現をIFAで確認した結果、cell-free感染ではいずれの細胞についても感染効率は極めて低かった。一方、HHV-6感染4日後の臍帯血単核球(CBMC)もしくは単球由来樹状細胞(MoDC)との共培養によるcell-to-cell感染では、MoDCからの感染効率はcell-freeと同じく低いままであったが、CBMCから神経芽腫細胞株3株に対しては高いHHV-6感染率が認められた。U373への感染はCBMCからもほとんど認められなかった。 神経芽腫細胞株へのHHV-6感染はSK-N-SH細胞ですでに報告されているが(De Bol le et al.2005)、その感染効率はHHV-6Bではやはり低い。今回、HHV-6B感染CBMCからcell-to-cellによって神経芽腫細胞株への感染効率が飛躍的に高まることが明らかとなった。活性化T細胞は血液脳関門を通過することが知られており、HHV-6脳炎の発症もしくは増悪にT細胞が関与している可能性も考えられる。
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