2010 Fiscal Year Annual Research Report
医薬品による胎児への致死的・重篤な有害事象の発現機序の究明
Project/Area Number |
20390157
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
北田 光一 千葉大学, 医学部附属病院, 教授 (90110345)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
有吉 範高 千葉大学, 医学部附属病院, 准教授 (00243957)
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Keywords | 胎児毒性 / 心臓停止 / DHEA-S / 遺伝子多型 / CYP3A7 / STS / 心機能とステロイド |
Research Abstract |
本研究の目的は、子宮頸管熟化不全治療薬として本邦でのみ使用されているDHEA-S製剤が誘発する胎児突然死の原因を、胎児および胎盤の両面から探求することである。胎盤側の要因を探る本年度の目的の第一は、DHEA-Sを胎児から胎盤に組みだす有機アニオントランスポーター4(OAT4)に対し、昨年度後半から開始した多型探索を終了し、見出した多型の機能解析を行うことである。第二は、昨年度見出した日本人における胎盤ステロイドスルファターゼ(STS)の新規多型の機能解析である。交付申請書に記載した研究実施計画に基づき、まず、第一の目的については、10個のexonの中で、2つのSNPsを見出したが、いずれもアミノ酸置換を伴うものではなかった。一方、5'-上流域には、1つのSNP(-18C>T)しか見出されず既知の多型であった。胎盤絨毛癌由来のBeWo細胞を用いて、レポーターアッセイを行ったところ、野生型に対し1.4倍有意に高い転写活性を示した。第二の目的であるSTS多型の機能解析について、遺伝子上流域の6つのSNPsについては、胎盤絨毛癌由来のBeWo細胞において、いずれも転写活性に有意な影響を及ぼすことはなかった。一方、exon 10に見出した1647G>A多型は、Val476Metを伴うミスセンス変異であり、その機能解析のために、大腸菌発現系の構築を試みた。試行錯誤の結果、Coldショックシステムを用いることで、ヒトSTSタンパク質を発現させることに初めて成功した。STS活性を測定するため、新規な測定法を開発した。しかし、大腸菌で発現させたヒトSTSは、大腸菌由来プロテアーゼによる分解、あるいは糖鎖付加不全によると考えられる活性欠損が認められたため、ホスト細胞をCOS-1細胞に切替えて発現させた。COS-1細胞で発現したSTSは、脱硫酸抱合活性を有しており、多型は転写後の発現には殆ど影響しないと考えられた。精製酵素での比較は行えなかったものの、Val476Met置換を有する多型酵素のミクロゾーム蛋白あたりのSTS活性は、野生型に比べて著しく低下することはなかった。
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Research Products
(3 results)