2008 Fiscal Year Annual Research Report
末梢性自己寛容誘導機序の解明に基づく自己免疫疾患の発症予知診断法の開発
Project/Area Number |
20390168
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岩谷 良則 Osaka University, 医学系研究科, 教授 (60168581)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邉 幹夫 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (50294088)
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Keywords | 自己免疫疾患 / 制御性T細胞 / 末梢性自己寛容 / 甲状腺 / 発生制御因子 / GITRL / HHEX / 一塩基多型 |
Research Abstract |
自己免疫疾患の病因規定因子である末梢性自己寛容の誘導因子と標的臓器の発生制御因子に着目し、発症予知に有用な遺伝子多型を見出すことを試みた。 1.制御性T細胞の解析 甲状腺に浸潤している制御性T細胞では、エフェクターT細胞に抑制を誘導する膜型TGF-β1分子と抗原提示細胞等が発現するGITRリガンド(GITRL)からの刺激を受けて抑制機能の低下をもたらすGITRの発現が、末梢血の制御性T細胞に比し、増強していることを明らかにした。また自己免疫性甲状腺疾患の組織内では、間質に存在する単核球以外に、甲状腺上皮細胞もGITRLを発現していることを発見した。さらに正常の甲状腺組織においても、甲状腺上皮細胞がGITRLを発現していたが、自己免疫性甲状腺疾患の発現の方が強かった。従って、甲状腺上皮細胞に発現するGITRLが、自己免疫性甲状腺疾患の増悪を促している可能性が示唆された。 2.遺伝子多型(SNP)の探索・解析 標的臓器である甲状腺の発生制御因子としてTTF-1、 Pax-8、 HHEXにまず着目し、既に存在が報告されているTTF-1-854G/T、 Pax-8T225M、 HHEXrs1111875の一塩基多型(SNP)の解析を行った。対象は、健常人69人、バセドウ病患者105人(難治群64人、寛解群41人)、橋本病患者(重症群50人、軽症群21人)とした。バセドウ病と橋本病を健常人と比較してもgenotypeの頻度に有意の変化は見られなかった。次に、バセドウ病の難治群と寛解群を比較したところ、HHEX rs1111875において、GG genotypeが寛解群には存在せず有意に少なかった。すなわち、HHEX rs1111875がGG genotypeの時には寛解しやすいことを示している。 今後、さらにGITRLのSNPやHHEX多型の機能の差について解析する予定である。
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Research Products
(6 results)