2010 Fiscal Year Annual Research Report
地域保健領域の有害因子による健康影響の解明とそのリスク評価法の確立
Project/Area Number |
20390180
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
村田 勝敬 秋田大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (80157776)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩田 豊人 秋田大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (00321894)
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Keywords | 有害化学物質 / 地域保健 / リスク評価 / ベンチマークドース法 / 農薬 / 神経影響 |
Research Abstract |
地域保健領域の有害因子の低濃度慢性曝露によるヒト健康影響を明らかにする目的で以下の研究を行った。 (1)リンゴ栽培農家の農薬曝露の健康影響の解析 リンゴ栽培農家の繁忙期(夏)と農閑期(冬)に尿を採取して、日頃の農薬曝露レベルを調べ、かつ農閑期に農薬曝露の慢性影響として神経行動学的検査および自律神経機能検査を行い、農薬の慢性影響を検討した。対象者147名から尿を採取して農薬の代謝産物であるジメチルリン酸(DMP)、ジエチルリン酸(DEP)、ジメチル三リン酸(DMTP)、ジエチル三リン酸(DETP)濃度を測定すると、繁忙期の夏にDEPを除くDMP、DMTP、DETP濃度が高く、冬に濃度が低くなっていた。この農薬使用濃度は愛知県内の青果配送業者と比べて高かった。なお、研究終了時までに健康影響指標の測定は終了したが、解析結果をまとめる時間がなかったので、今後専門誌に成果を発表する予定である。 (2)臨床基準をもつ疫学データにおけるベンチマークドース法の適用に関する研究 欧州食品安全機関(EFSA)は「リスク評価におけるベンチマークドース法の利用」を発表し、これまで伝統的に用いられてきた無毒性量(NOAEL)の代わりにベンチマークドース(BMD)法が健康指針値や曝露マージンの基準点を決定する選択しとして使用されるべきと勧告した。しかしながら、これまでの文献を基にこの方法を吟味する必要があると感じ、検討した。その結果、EFSAが推奨するBMD法を用いて得られる有害物質のより低い基準点によって、ヒトへの安全性は大いに保証されるものの、臨床的基準に照らすと疫学データへのBMD法の適用は必ずしも毒性学的意義を反映しないと考えられた。
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Research Products
(5 results)