2010 Fiscal Year Annual Research Report
B型肝炎ウイルス遺伝子型毎の薬剤耐性メカニズムの解明
Project/Area Number |
20390213
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
溝上 雅史 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 客員教授 (40166038)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 靖人 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (90336694)
菅内 文中 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 研究員 (20405161)
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Keywords | エンテカビル / ラミブジン / 薬剤耐性 / キメラマウス / HBV |
Research Abstract |
1. エンテカビル(ETV)耐性メカニズムの解明:ETV耐性変異(180M,202G,204V)に伴い、逆転写酵素(RT)の立体構造が変化し、ドッキングシュミレーションによりETVとの結合能が低下することが証明できた。2. ガイドラインの検証:3年以上ラミブジン(LVD)単独投与により効果が得られている(HBV-DNA<2.6)B型慢性肝炎症例に対して、LVD継続投与群とETV切り替え投与群でのランダム化比較臨床試験を実施した。その結果、LVD継続群では高率にbreakthroughを認めたが(40%)、ETV切り替え群では平均13カ月の観察で1例もbreakthroughを認めなかった。短期的にはETV切り替えが推奨された。3. キメラマウスを用いたin vivo感染実験:(1)HBVワクチンエスケープ変異株(VEM)に対する中和実験:HBVに対するモノクロナール抗体を用いてヒト肝細胞キメラマウスにおけるHBV中和試験を行った。現在日本で使用されている遺伝子型CのHBワクチン由来のS抗体で遺伝子型AのHBV感染防御が可能であった。また、VEM株の感染実験においても、複数のS抗体を組み合わせることにより、感染防御が可能であった。(2)潜在性HBV感染【HBsAg感度以下、HBV DNA陽性】患者の血清を用いた感染実験:免疫不全状態にあるヒト肝細胞キメラマウスに接種したところ、感染が成立するマウスが存在した。献血スクリーニングをすり抜けて、輸血後B型肝炎が発生する可能性を示唆する重要なデータと思われる。
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