2009 Fiscal Year Annual Research Report
生態学的適所における造血幹細胞分裂の分子基盤の解明
Project/Area Number |
20390270
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高倉 伸幸 Osaka University, 微生物病研究所, 教授 (80291954)
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Keywords | 幹細胞 / 発生分化 / 自己複製 / ニッチ / 再生医学 |
Research Abstract |
休眠期の造血幹細胞が細胞周期に入る要因は、恒常的な造血幹細胞のプールサイズの維持と、外来性環境要因による、幹細胞自己複製の要求性の二通りが考えられる。我々は、造血幹細胞の自己複製に関わる機構の解明のため、CD34陽性の一過性増殖期にある造血幹細胞と、CD34陰性の休眠期の造血幹細胞におけるDNA複製因子PSF1に注目して、その発現による幹細胞の細胞周期に関する検討を行ってきた。PSF1は転写開始点の相違により、完全長のものと、不完全な短いPSF1が産生されることを解明してきた。CD34陰性~弱陽性の休眠中の造血幹細胞では、主に短いPSF1が産生されており、CD34陽性の増殖期の造血幹細胞では、完全長のPSF1の産生が観察された。このことはPSF1遺伝子のプロモーター領域において、PSF1の発現をコントロールすることにより、短いPSF1の産生により造血幹細胞のDNA複製を抑制して幹細胞の細胞周期を負に制御していることが予想された。そこで、PSF1遺伝子のプロモーター領域を鱗析したところ、1番目のエクソンより0~5Kb上流の領域内では、PSF1「のプロモーター活性は0~2Kbの領域が必須であり、2~5Kbの領域はプロモーター活性に影響を与えなかった。興味深いことに、造血幹細胞の細胞周期を休眠状態にすることが予想されている、E2F6の結合領域が、5'上流領域に存在し、この領域においてE2F6が結合することにより、PSF1の完全長の遺伝子翻訳に抑制をかける可能性が示唆された。
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Research Products
(18 results)