2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20390279
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
北浦 次郎 The University of Tokyo, 医科学研究所, 助教 (30282651)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北村 俊雄 東京大学, 医科学研究所, 教授 (20282527)
中尾 和貴 理化学研究所, 動物実験支援ユニット, ユニットリーダー (20217657)
|
Keywords | ペア型免疫レセプター / 自然免疫 / ノックアウトマウス / 自己免疫 / ミエロイド |
Research Abstract |
In vitroにおけるマスト細胞の解析により、LMIR3の架橋刺激はIgEレセプターのシグナルを負に制御する一方、TLR4のシグナルを正に制御することを明らかにした。また、そのメカニズムとして、LMIR3は細胞内領域のITIMやITSMを介して負のシグナルを、また、ITAMを有するFcRgammaとの会合により正のシグナルを伝達することを明らかにした。次に、抑制型レセプターでありながらLPSの刺激に対しては活性化型レセプターのような作用も有するLMIR3が、生体内でどのように働くかを明らかにするために、LMIR3ノックアウトマウスの解析を開始した。LMIR3欠損マウスの成長発達や組織形態などは正常であり、また、末梢組織(骨髄、脾臓、胸腺、リンパ節など)における血球系細胞の分化や数に明らかな異常を認められなかった。そこで、次に、自然免疫に関与するいくつかのin vivo実験を施行した。マウス敗血症モデル(CLP)の結果は、LMIR3欠損マウスの生存率が野生型マウスと比較して有意に改善することを示した。LMIR3欠損マウスの腹腔組織では好中球の集積が顕著であり、大腸菌などの殺菌が効果的に行われていることが明らかとなった。また、マウスの背中に形成したエアパウチ(Dorsal air pouch)にLPS(TLR4 agonist)やZymosan(TLR5 agonist)を投与する実験を施行した結果、LMIR3ノックアウトマウスにおいて著明な好中球の集積が認められた。以上の結果により、LMIR3は好中球の遊走に関与する分子であり、自然免疫において重要な働きをすることが示唆された。また、われわれはLMIR5がミエロイド系細胞に発現する活性化型レセプターであることをすでに証明したが、in vivoにおける働きを明らかにするためにLMIR5欠損マウスの解析も開始した。LMIR5欠損マウスもLMIR3欠損マウスと同様に定常状態において異常を認めなかった。一方、レトロウイルスを利用した発現クローニング法によりlMIR5のリガンド候補としてTIM1を同定した。さらに、上記のDorsal air pouchの実験でTIM1-Fcを投与した結果、野生型マウスで認められる好中球の集積がLMIR5欠損マウスでは消失することを証明した。この結果は、LMIR5がTIM1を認識するレセプターである可能性を強く示唆した。
|
Research Products
(23 results)