2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20390279
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
北浦 次郎 東京大学, 医科学研究所, 助教 (30282651)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北村 俊雄 東京大学, 医科学研究所, 教授 (20282527)
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Keywords | ペア型免疫レセプター / 自然免疫 / アレルギー / 炎症 / ノックアウトマウス / ミエロイド系細胞 |
Research Abstract |
LMIR3ノックアウトマウスは、CLP(腹膜炎モデル)による敗血症に対して強い抵抗性(致死率の改善)を示した。LMIR3ノックアウトマウスでは炎症局所におけるケモカイン産生が亢進して好中球が著名に集積した。その結果、生体内における大腸菌の排除が促進されて致死率が改善すると考えられた。また、アレルギーモデルの実験を行った結果、LMIR3ノックアウトマウスではIgEとマスト細胞が関与するアナフィラキシーが増悪(直腸温の低下や血管透過性の亢進)した。今後、LMIR3のリガンドが同定されれば、敗血症やアレルギーに対する新しい治療法の手がかりとなる可能性がある。一方、レトロウイルスを利用した発現クローニング法によりLMIR5のリガンド候補としてTIM1を同定した。TIM1は虚血腎において発現が上昇するので、LMIR5ノックアウトマウスに対して腎虚血還流モデルを施行した。その結果、野生型マウスでは虚血腎の尿細管(TIM1を高発現する)に好中球(LMIR5を発現する)が集積して炎症が増悪するのに対して、LMIR5ノックアウトマウスでは虚血腎における好中球の集積が少なく、尿細管壊死も抑制された。この結果からTIM1が田IR5の生理的なリガンドであることが証明された。また、LMIR5は細胞表面上で(LPsにより活性化したMMP8により)切断されて可溶性フォーム(sMIR5)となり放出されることを証明した。sLMIR5を検出するELISA法の確立によりLPSを投与したマウスではsLMIR5の産生が認められた。また、sLMIR5の代替物であるLMIR5-Fc(細胞外領域のLMIR5とヒトFcの融合蛋白)はマクロファージを活性化してサイトカインを産生させた。以上から、sLMIR5はLPS刺激による炎症の増悪機構として機能することが示唆されたが、sLMIR5が結合する分子は不明であり今後の解明が期待される。このように、脱IR5は自然免疫や虚血に伴う炎症に深く関与すると考えられる。LMIR4ノックアウトマウスはCLPによる敗血盧に対して抵抗性を示した。LMIR4は好中球に限局的に発現するので、自然免疫に深く関与することが示唆された。
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Research Products
(17 results)