2010 Fiscal Year Annual Research Report
活性型ビタミンD3投与による高齢者肺炎の新たな予防法の確立のための研究
Project/Area Number |
20390285
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大類 孝 東北大学, 加齢医学研究所, 准教授 (90271923)
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Keywords | 虚弱高齢者 / ビタミンD欠乏 / 肺炎 / 細胞性免疫能 / ツベルクリン反応 / 活性型ビタミンD / 25-OHビタミンD |
Research Abstract |
[研究の背景]高齢者の肺炎は難治性かつ再発性で致死率も高くその予防法の確立が急務である。近年、諸外国の研究によりビタミンD(VD)の免疫賦活作用が明らかにされた。昨年度の本研究で私は、肺炎を繰り返す虚弱高齢患者では対照群と比較して血中のVD濃度が低下しかつ細胞性免疫が低下している事実を明らかにした。[目的]VD欠乏患者群において活性型VD3の投与が細胞性免疫を賦活化し、その後の肺炎発症を予防するか否かにつき前向きの介入研究を施行した。[方法]血清VD濃度の低下した虚弱高齢者63名を無作為に活性型VD3製剤投与群32名(0.5μg/day、週3日間内服)および非投与群31名の2群に分け、その後の発熱日数、咳、喀痰等の臨床症状、肺炎発症の有無、他病院への入院の有無、生命予後を1年間にわたり前向きに調査した。[結果]最終的に調査を完遂できたのは介入群20名(男6:女14、平均年齢84.5±10.0(SE)歳)、非介入群22名(男6:女16、平均年齢81.9±12.3歳)の計42名であった。死亡および脱落者数は介入群で13名、非介入群で10名と若干介入群で高い傾向を認めたが有意差はなかった。1年後の血中VD濃度、ツ反の最大径および血清アルブミン値は介入群と非介入群で有意差を認めなかった。発熱者の割合も両群間で有意差は認めなかったが、他病院へ入院した患者の割合は介入群で有意に多くいずれも気管支炎および肺炎が原因で[20名中10名(50%)vs22名中3名(14%)、p=0001]、平均入院回数も介入群で有意に多かった(0.80±1.0vs0.1±0.4回/年、p=0.001)が、両群間で死亡率に差異はなかった。ビタミンD投与による副作用は認められなかった。[結論]少量のVD補充療法には虚弱高齢者の肺炎を予防する効果は認められなかった。
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Research Products
(2 results)