2010 Fiscal Year Annual Research Report
PETによる自閉症のセロトニン仮説の証明とそれを制御する遺伝子の同定と機能解析
Project/Area Number |
20390312
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
中村 和彦 浜松医科大学, 医学部, 准教授 (80263911)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武井 教使 浜松医科大学, 子どものこころの発達研究センター, 教授 (80206937)
尾内 康臣 浜松医科大学, 分子イメージング先端研究センター, 教授 (40436978)
辻井 正次 中京大学, 現代社会学部, 教授 (20257546)
松崎 秀夫 浜松医科大学, 子どものこころの発達研究センター, 特任准教授 (00334970)
片山 泰一 大阪大学, 連合小児発達学研究科, 教授 (80333459)
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Keywords | 自閉症 / PET / 遺伝子 |
Research Abstract |
(1) 脳画像研究 PET:脳内セロトニン系やそれ以外他の伝達系にも注目し、コリン系に焦点をあてたPET研究を行った。22年度は自閉症の「相手の気持ちが読めない」という特徴に着目した。その原因は以前から、相手と視線を合わせないためと考えられてきたが、脳の紡錘状回というヒトの表情を認識する部位でアセチルコリン神経の活動が低下していることが明らかになった。さらに、アセチルコリン神経の活動異常を頭部専用PET(陽電子放射断層撮影)で画像としてとらえることができた。アセチルコリン神経の神経終末には、アセチルコリンエステラーゼ(AChE)というたんぱく質が存在する。神経の機能が低下すると神経終末が少なくなり、AChEもそれに伴って減少する。自閉症の18歳-33歳の20人と同年代の健常者20人をそれぞれ調べたところ、自閉症の人では、紡錘状回のアセチルコリン神経の機能が健常者より低下しており、その程度が大きいほど「相手の気持ちが読めない」という症状が強いことが明らかになった。 (2) 生化学計測,遺伝子解析 22年度は、自閉症者において、血清中のplatelet-derived growth factoraが上昇しており、adiponectinが減少していることが明らかになった。臨床遺伝学的相関を検討したところ、脳由来であるFABP7, 5, 3の遺伝子に相関が見つかった。MET遺伝子については日本人サンプルについては欧米人で見つかった変異については相関が認められなかったが、別の変異について相関が見つかった。さらに日本人サンプルにおいてセロトニン関連のSTX1Aに関して相関が認められた。
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